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基礎英語長文問題精講

基礎英語長文問題精講 問題34 解説

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名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。

本文

2行目:one of the best, if not the best

one of the best, if not the best
【和訳(直訳)】最高ではないにしても、最高の中の一つ

one of the best, if (it is) not the best の it is が省略された表現と考えてください。ここでの if は even if(たとえ~としても)の意味です。

このような A, if not B 「B とは言えないまでも A」という表現はしばしば見られます。

  • difficult, if not impossible(不可能とは言えないまでも困難な)
  • similar to, if not the same as ~(~と同じとは言えないまでも似ている)
  • desirable, if not essential(不可欠とは言わないまでも、望ましい)
  • as good, if not better than ~(~以上にとは言わないまでも、~と同じくらい良い)
  • equally, if not more, difficult(より難しいとは言わないまでも、同じくらい難しい)

「B という極端な程度を例に挙げつつ、A は B ほどではないものの十分に程度が高い」ということを意味する表現です。慣れないと分かりにくい表現ですので注意してください。

8行目:commitment

the commitment of mothers
【和訳】母親の献身

commit は非常に訳しにくい単語の一つです。ざっと挙げただけでも、以下のような訳語があります。

  1. commit oneself to an idea(ある考えを表明[明言]する)
  2. commit oneself to help him(彼を助けることを約束する)
  3. commit the whole weekend to studying(週末をまるまる勉強に捧げる)
  4. commit a crime/suicide(罪/自殺を犯す[する]
  5. commit one's child to ~(~に私の子供預ける、委ねる)
  6. commit someone to prison(~を刑務所に送る[引き渡す])

このようにさまざまな訳語が当てはまる commit ですが、これらのの例にはある共通するイメージがあります。それは「強い気持ち(覚悟)を持って何かをする」ということです。例えば 1 の例なら、ある意見を思いつきでペラペラ喋っているわけではなく、その考えに対して信念・覚悟を持って発言しています。

とりあえず commit の意味は「する」と考えてみてください。commitment なら「すること」です。ただしそこには強い気持ち(覚悟)が伴っていることを忘れずに。「やるぞ!」というイメージです。

例えば、3 の例なら「週末をまるまる勉強に対して『する』」と訳してみます。もちろんそのままではおかしな日本語ですが、「週末の間ずっと一生懸命勉強する」ということはなんとなく伝わるでしょう。普通に英語を読み流す分には、そのくらいの理解で十分です。そこから「週末をまるまる勉強に捧げる」という訳につなげます。

そこで、本文の the commitment of mothers について考えてみましょう。この場合、まず of の前後の commitment と mothers が SV関係 なのか OV関係 なのかを考える必要があるのでちょっと面倒です。「母を commit する」はよく分からないので、ここでは「母が commit する」という SV関係 と考えます。つまり、the commitment of mothers は「母親が(強い気持ちを持って)すること」です。この文脈では日本の学校の良いところを挙げていますので、教育ママが学校や子供の教育に熱心に口出ししていることがイメージできるのではないでしょうか。「献身」という訳語はなかなか出てこないと思いますが、「母親の積極的な関わり」くらいの訳でも十分です。

9行目-:ability to do

the ability of pupils <to absorb masses of facts>
【和訳】生徒が大量の事実を吸収する能力

to absorb ~ は、ability を修飾する不定詞の形容詞的用法。be able to do から派生した表現です。詳しくは以下の記事を参照してください。
【関連記事】基礎英語長文問題精講 問題33 解説

14行目:abstract

to abstract from facts
【和訳】事実を抽象化する[概念化する/要約する]

abstract という単語の意味は、形容詞なら「抽象的」、動詞なら「抽象化する」です。「抽象化する」という日本語が分かりにくい人は、「物事個々の具体的な事象を抽象的に理解する」⇒「一般化する」「概念化する」と考えてください。あるいは「物事個々の具体的な事象の大事なところ(要点)だけを抜き出して理解する」とも言えますので、もっと思い切って言い換えて「要約する」という訳でもOKです。この文脈では、日本の子供は、知識の丸暗記や算数は得意だが、物事を要約する能力は世界的に見ると劣っているということを言っています。

27行目:indeed

Pupils are not taught to ask the right questions - indeed to ask any questions at all.
【和訳】生徒は適切な質問をすることを教えられない。もっとはっきり言えば[それどころか]、いかなる質問をすることも教えられない。

このような indeed は具体化のディスコースマーカーで、「実際」ではなく、「もっとはっきり言えば」か「それどころか(むしろ)」と訳すことをおすすめしています。ここではどちらの訳でいけそうです。本書では「いや」と訳しており、これもうまい訳です。
【関連記事】基礎英語長文問題精講 問題29 解説
【関連記事】ディスコースマーカー一覧

28行目:instead(設問1(9))

Instead, the emphasis is on rote memorisation.
そうではなく、重点は機械的に覚えることに置かれる。

26行目の Pupils are not taught to ask the right questions の not と呼応する

  • not A. Instead B( A ではない。そうではなく B )

という形の相関構文 として意識することが重要です。instead や instead of ~ は「代わりに」「~の代わりに」と訳されることが多いですが、「そうではなく」「~ではなく」と訳したほうが、文脈のつながりをはっきり意識することができるのでおすすめです。

またこれは、有名な not A but B の変形バージョンです。

  • not A but B
  • not A instead B
  • not A rather B

は全て同類だと考えてください。
また、セミコロンが接続詞的な働きをして、同様の意味を表すこともあります

  • not A ; B

not A rather B については 問題22 で、not A ; B については 問題29 で出てきているので、相関構文についての意識が不十分だった方は読み直すことをおすすめします。
【関連記事】
基礎英語長文問題精講 問題22 解説
基礎英語長文問題精講 問題29 解説

設問

問1(7):hostile

問1(6) の charges は難問ですが、それが分からなくても、この問題はしっかり正解しなくてはいけません。この段落は、全体を通して、日本の学校教育への批判が述べられていることを踏まえます。空所直後の such a purpose は 22行目の sharpening the reasoning ability というポジティブな内容を指していますので、空所にはネガティブな内容が入るべきです。選択肢の中でネガティブなものは hostile(敵対する)だけです。

問1(8):patience

正解は patience で、 there is no patience with originality(創造性は容認されない)となります。「忍耐、我慢」という訳語を当てはめるとピンと来ないかもしれませんが、patient には「寛大な、受け入れる余地がある、物分かりが良い」などの意味もあり、この文脈ではそれがピッタリです。

選択肢1 の agreement と迷った人もいるかもしれません。しかし、agree with ~(~に同意する、一致する) の「~」に来るべきものは、「人」または「考え、提案」です。
例:

  • I agree with your decision/idea/conclusion/claim/plan 等.

originality(創造性)とは、その「考えや提案」を生み出す元になる概念なので、適当ではありません。

問1(9):Instead(instead と however の違い)

instead については既に解説していますが(28行目:instead)、この設問を解くという観点での解説を補足しておきます。rote memorization の rote(機械的な)が分からないのはやむをえないので、ひとまず rote は無視して、memorization がこの文章の中でポジティブなのかネガティブなのかを考えます。

memorization(暗記)は単純作業で、13行目 if tests were to ~ で述べられているような複雑な思考を要するものとは対極をなします。5行目の mathematics や 10行目の written tests と同類のものと言えるでしょう。よって、ネガティブと考えられます。そこで、27行目の to ask the right questions がポジティブなものですので、「その代わりに(instead)」、日本では暗記に重点が置かれている、と考えると辻褄が合います。

選択肢1 の however を選んでしまった方は、instead も however も逆接系の接続副詞ですので、ちょっと惜しいと言えます。instead との違いとして、however は、直前で述べた内容とは対照的で、それが聞き手にとって意外なことを述べるときに使われます。以下の例文を見てください。

He didn't want to go. However, he went.

「彼は行きたくなかった」と言ったら、聞いている人は「あー、じゃあ行かなかったんだろうな」と思います。「それでも、意外なことに、彼は行った」というわけです。

一方、instead を使えるのは、直前に述べた内容をする代わりに、と言いたい場合です。instead of ~ と言い換えられる場合と考えてもよいでしょう。例えば以下のような場合です。

He never studies. Instead, he watches books all day.
[= He never studies. Instead of studying, he watches books all day.]

彼は勉強をせず、勉強をする代わりに、一日中テレビを見るわけです。この instead を however と置き換えたらおかしいですね。「勉強しない」ということと「一日中テレビを見る」ということは、対照的で意外というわけではないからです。


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都内の某予備校で講師をしています。受験生の役に立つ情報をどんどん提供していきたいと考えていますので、「この文法が分からない」「こんなまとめが欲しい」など、ご意見・ご要望・ご質問等がありましたら、コメントを通じてお気軽にご連絡下さい。

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