英語の重要表現 so that S (can/will/may) V について、これは「『目的』なのか『結果』なのか?」「目的・結果をどう見分けたらよいか?」という質問を受けることがよくあります。ここでは、目的と結果を見分ける方法や、so that の本質的な考え方について解説します。
目次
目的と結果の見分け方早見表
気の早い人のために、まずは so that の目的・結果を区別するポイントを記した早見表をご紹介します。
目的 | 結果 | |
---|---|---|
カンマの有無 | カンマがないことが多い | カンマがあることが多い |
助動詞の有無 | 助動詞があることが多い | 助動詞がないことが多い |
時制 | 主節が現在時制または命令文の場合、助動詞の有無にかかわらず目的のことが多い | 「過去時制」且つ「助動詞無し」が多い |
could か was/were able to か | 肯定:could 否定:couldn't(※wouldn't の方が一般的) | 肯定:was/were able to 否定:was/were not able to または couldn't(※couldn't の場合、目的ともとれるのであいまい) |
ただし、この表の中の記載のほとんどが、「…ことが多い」となっていることに注意してください。so that ~ の目的・結果を形だけで完全に区別することは困難です。以下、それぞれのポイントについて補足説明をしていきます。
カンマの有無について
よくある説明として、「結果の場合は、直前にカンマが置かれることが多い」というものがあります。
Someone removed his brushes so that he couldn't paint.【目的】
(彼が絵をかけないように、誰かが絵筆を片付けた)
Someone removed his brushes, so that he couldn't paint.【結果】
(誰かが絵筆を片付けたので、彼は絵をかけなかった)
この説明は、一般論としてはもちろん正しいです。しかし、日本人でも句点を多くいれる人もいればあまり入れない人もいるように、英語ネイティブでもカンマの入れ方には個人のクセがあります。もっと言えば、当たり前ですが会話にはカンマはありません。カンマの有無にはあまり頼りすぎないことをおすすめします。
助動詞の有無について
そもそもの話ですが、「結果」とは言い換えると「客観的な事実」です。一方、「目的」とは「主観的な考え方」で、つまりそれはまだ事実にはなっていません。
そして、「事実ではないこと(主観)」とは、広い意味では全て推量です。例えば「~だろうと思う」「~すべき」「~できる」…これらは全て「主観」であり、且つまだ実現していないので、「推量」とも言えますね。
そして、基本的に全ての助動詞には「推量」の意味が含まれます。よって、「目的」を表す節には必然的に助動詞が多く使われる傾向があるのは事実です。このことは「目的」と「結果」を見分ける一つの大きな手掛かりになるでしょう。
以下は分かりやすい例です。
I watered the flowers so that they would grow fast. 【目的】
(私はその花がはやく育つように水をやった)
I watered the flowers so that they grew fast. 【結果】
(私はその花に水をやった。その結果はやく育った)
※カンマが入っていないことにも注目
時制について
しかし、助動詞の有無についても、絶対の基準とは言えないのが厄介なところです。むしろ、助動詞がなくても目的を表すことは結構あるということを覚えておいてください。
You must nurture children so that they grow up healthily.
(健康的に育つように子供を養育しなくてはいけない)
The ticket is so that we know how long you've been parked there.
(そのチケットは、どのくらいの時間あなたが駐車したのか知るためのものだ)
Clean the wound so that infection doesn't develop.
(感染が起こらないように傷口を洗いなさい)
Take care so that this product does not get into your eyes.
(当商品が目に入らないよう注意してください)
ただし、助動詞がない場合は、ある種の傾向があります。それは、主節の時制が過去ではなく「現在」または「命令文」(過去形ではない)だということです。つまり、これらの文の内容はまだ実現していないので、so that 節に助動詞を使わずとも、それがこれから実現すべきこと(≒目的)であるということは分かるのです。「主節が現在時制や命令文のときには、助動詞の有無にかかわらず、that節は目的になることが多い」ということは覚えておいてよいでしょう。
一方、主節の時制が「過去」の場合は、that節に would, could, might 等の助動詞があったら「目的」、なかったら「結果」であることが多い、ということが言えます。
could と was able to の違い
もう一点、so that の目的・結果の区別をする上で注意しておかないといけないのが could の用法です。さて、以下の文は「目的」でしょうか?「結果」でしょうか?それともどちらとも解釈できるでしょうか?
I left the house early so that I could catch the first train. 解答を表示
この文の意味が「目的」に限定されるのはなぜでしょうか?このことを理解するには、そもそもの could の意味をよく把握しておく必要があります。can の「できる」とは「する能力を持っている」という意味ですが、それが過去形の could になったときは、「する能力があった」すなわち「その気になればそれをすることができた」という意味を表し、それを実際に実行したとは限らないからです。もし、「実際に実行できた」という意味を表したいときは、was/were able to を使います。以下の2つの文を見比べてください。
I could swim across the river when I was young.
(私は子供の頃、(そうしようと思えば)その川を泳いで渡ることができた)※実際に泳いで渡ったとは限らない
I was able to swim across the river when I was young.
(私は子供の頃、その川を泳いで渡ることができた)※実際に泳いで渡った
このことは so that ~ の構文についても当てはまります。
I left the house early so that I could catch the first train.
(私は始発電車に(乗ろうと思えば)乗れるように家を早く出た)
※実際に乗ったとは限らない ⇒【目的】
I left the house early so that I was able to catch the first train.
(私は家を早く出た。その結果、始発電車に乗ることができた)
※実際に乗った ⇒【結果】
ただし、ややこしいことに、could not という否定の形は、was/were not able to と同様に、「実際にできなかった」という意味を表すことができます。ただし、その場合でもやはりニュアンスの違いはあります。
I could not swim across the river when I was young.
の場合は、「元々能力がなくて、泳げなかった」という意味で、
I was not able to swim across the river when I was young.
の場合は、例えば「能力はあったけれど、たまたま流れが急だったなどの理由があって泳ぎ切れなかった」という意味になります。
よって、この記事の冒頭で、以下の例文は「結果」とご紹介しましたが、
Someone removed his brushes, so that he couldn't paint.
すでに述べたように、カンマの有無は絶対的なものではありませんので、実はこの文は「目的」とも「結果」とも解釈可能です(※ただし、「否定の目的」の場合は、あまり couldn't は使われず、どちらかと言うと wouldn't とが使われる傾向があります)。
もし明確に「結果」と解釈してほしいのであれば、この文は
Someone removed his brushes, so that he wasn't able to paint.
とする必要があります。
もっと本質的な考え方
ここまでさんざん目的と結果の区別の方法について述べてきたのですが、「面倒くせぇなぁ」と思った人もいるのではないでしょうか?そもそも、すでに述べたように、これらのルールは「~のことが多い」というものばかりで、結局は絶対的なものではありません。となると、「こんなもの覚えてどうするんだ?!」という気にもなってしまいます。付け加えて言えば、ネイティブが会話の中でいちいち「これは目的」「これは結果」のように区別しているとはとても思えません。
そこで、so that構文について、もっとシンプルで本質的な考え方をお伝えします。
それは、so that ~ は、基本的に「全てが結果」だということです。
例えば、以下の例文は、一般的には「目的」と解釈されます。
I'll give you the necessary information so that you may decide yourself.
(あなたが自分で決断できるように、必要な情報を与えます)※一般的な訳
この英文を、以下のように考えてみてください。
「あなたに必要な情報をあげるよ。そうすればさ、あなたは自分で決断するかもしれないじゃん」
つまり、「あなたに情報をあげたら、その結果、あなたは自分で決断する可能性がある」と、自分の行動の結果を予測しているわけです。これは広い意味では「結果」と言えるのではないでしょうか。
他の例文も考えてみましょう。
I watered the flowers so that they would grow fast.
(私はその花がはやく育つように水をやった)※一般的な訳
(私はその花に水をやった。そうすれば、早く育つだろうから)※本質的な考え方
Please contact us today so that we do not have to take any legal action.
(法的措置を取らなくて済むよう今日ご連絡ください)※一般的な訳
(今日連絡ください。そうすれば、私たちは法的措置を取る必要がありません)※本質的な考え方
I'd like to sit up so that I can read.
(本を読むために身体を起こしたいのですが)※一般的な訳
(体を起こしたいです。そうすれば、本を読めるので)※本質的な考え方
She tidily packed up food so that it doesn't spill in the car.
(車でこぼれないように彼女はきれいに食べ物を包んだ)※一般的な訳
(彼女はきれいに食べ物を包んだ。そうすれば、車でこぼれないので)※本質的な考え方
いかがでしょうか?いずれも一般的には「目的」と解釈される英文ですが、時制や助動詞の種類・有無にかかわらず、「結果」と考えても意味が通ることが分かると思います。ちょっと面白いのは最後の例文で、主節が過去形、that節は現在形(※助動詞無し)になっており、時制の一致の観点からはちょっと違和感を感じます。これはおそらく、包んだ結果が「常に車でこぼれない」状態になっていることを想定しているのでしょう。このことも、どちらかと言えば、目的よりも結果と考えたほうが理解しやすいと思います。
では、そもそも「目的」とは何なのでしょうか?それは、ある行動の結果を、前もって意図しているということです。ある結果の実現を予め意図していれば、それは「目的」とも解釈することができ、逆に意図しておらず偶然実現してしまったのであれば、それは「結果」でしかないということになります。では、それを意図しているかどうか?ということについては、文脈や常識的なことから判断するしかありません。例えば…
The soil was sandy enough so that water never stood about or filled a hole for long.【結果】
(土壌は十分な砂質だったので、水が長時間とどまったり、穴を満たしたりすることはなかった)
これについては、主語が人間ではないので、意図してできるはずはありません。よって「結果」です。
I've done this so that I can't do anything for him now.【結果】
(私はこれをしてしまったので、今彼のために何もすることができない)
この場合、文脈から、that節の内容が主語にとって好ましくないことであることが分かります。よって、それを意図するはずがないので、これも「結果」になります。
一方で以下のようなケースもあります。
The Sherpas negotiate on behalf of their leaders before a summit begins so that when the leaders arrive all but the most important decisions have been made.【目的】
(シェルパは、リーダー達が到着したとき、最も重要な決定以外はなされているように、サミットが始まる前にリーダー達の代わりに協議する)
文脈的に、「シェルパ」というものは、サミットの首脳たちの代わりに仕事をする人たちだということが分かります。ということは、ある意味、首脳たちの部下のような人たちなので、当然首脳たちのために、そうしようと意図して行動するだろうと想像できます。よって、これは「目的」と解釈できるるわけです。もちろん、すでに述べたように、本質的な考え方は「全て結果」ですので、「シェルパはサミットが始まる前にリーダー達の代わりに協議する。その結果、リーダー達が到着したとき、最も重要な決定以外はなされている」と、「結果」として解釈しても構いません。
このように、その行動を前もって意図している(=目的)かどうかは、多くの場合、文脈から判断することができます。
まとめ/暗記ポイント
結論として、so that 構文は、基本的には全て「結果」であり、その結果を予め意図している場合は、「目的」とも解釈できる、と考えるのがおすすめです。予め意図しているかどうかは、文脈から判断してください。逆に言うと、判断できない場合は、「目的」ととっても「結果」ととっても全く問題ありません。
というわけで、so that を見かけたら、いちいち「これは目的かな?結果かな?」などと考えず、「その結果」または「そうすれば」と訳して、左から右にどんどん読み進めましょう。その方が読むスピードも速くなります。
その上で、時制や助動詞の有無など、「目的」とも解釈できる目印を覚えておくことは、入試対策としては決して無駄ではありません。特に、could か was/were able の違いは重要な文法事項ですのでしっかり覚えておいてください。ちなみに、和訳問題など、設問に関連するところで so that が出てきた場合は、出題者は「目的」と解釈させたいことが多いです。