名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
3行目:無生物主語構文の訳し方
[A desire to learn] makes [the act of studying and learning] a delight.
【和訳(直訳)】学ぼうとする意欲は、学問し勉強するという行為を楽しみにする。
【和訳(意訳)】学ぼうとする意欲があれば、学問し勉強するという行為は楽しくなる。
無生物主語構文を訳すときのコツは、以下のように覚えておきましょう。
- 主語を副詞的に訳す(よく分からなければとりあえず「~によって」と訳してみる)
- 目的語を主語として訳す
「副詞的に」というのが分かりにくいかもしれませんが、「副詞節を導く接続詞を補ってみる」と考えてみてください。よく使われるのは、「~なので(because)」「~すれば(If)」「~するとき(when)」です。
それでも、もしどうしても見当がつかなければ、とりあえず主語を「~によって」と訳してみてください。たいてい意味は分かりますし、そのままで十分和訳として通用する場合もあります。ちなみに「~によって」も by ~ing の和訳と考えれば、前置詞+名詞=副詞句 ですので副詞的と言えます。
今回の本文
[A desire to learn] makes [the act of studying and learning] a delight.
であれば、いったん
「学ぼうとする意欲によって、学問し勉強するという行為は楽しみになる」
と考えてから、
「学ぼうとする意欲があれば、学問し勉強するという行為は楽しくなる」
に変換するということです。今回の場合は、補う接続詞は if で、以下のように言い換えることができます。
(If you have a desire to learn), the act of studying and learning becomes a delight.
6行目:関係代名詞の非制限用法
・・・, which, after all, are the primary reason for being in school.
【和訳(直訳)】・・・、しかしそれが結局のところ、学校にいることの第一の理由なのだ。
まず、which の先行詞が their studies(学問)であることを押さえます。それでも、本書の和訳「学問こそが、なんといっても、在学することの第一の理由であるのに」が、なぜそのような訳になるのか分からない人がいるかもしれません。
「関係代名詞の非制限用法(カンマ+関係代名詞)」は、原則として「接続詞+代名詞」と言い換えることができます。「接続詞」は、等位接続詞の and, but, for(~というのは)の3つと考えておいてください。頻度としては、私の経験上では and(70%)、but(20%)、for(10%)の割合で、断然 and「そして、~して、~で」というつながりが多いです。
例:He kept silent, which made her angry.
=He kept silent and that made her angry.
(彼は黙っていた。そしてそのことが彼女を怒らせた)
しかし、今回の場合は、which の前が「学生は教師や制度に文句を言うのに忙しくて学問に気を配らない」という内容であることを考えると、but(しかし)という逆説のつながりと考えるのが妥当です。本書の和訳では、この but を though に書き換えたように意訳していると考えれば、この訳も納得できるでしょう。
10行目:why not do(?)
why not just get on with beating “the system”!
【和訳】”制度”を壊してやろうと頑張り続けてみたらどうか。
why not do は「(なぜ~しないの)⇒ ~したらどうか」という勧誘表現。疑問文なので本来は疑問符(?)で終わるべきですが、本文では強調のためか、代わりに感嘆符(!)が使われています。
この表現は、why not の後ろが動詞原形(do)であることに注目してください。疑問詞で始まるのに、疑問文らしくない形なのです。また、why don’t you do? の言い換え表現でもあることも押さえておいてください。
Why not take a rest?
=Why don’t you take a rest?
(一休みしたらどう?)
15行目:文構造
There are countless subjects <to choose from> <that will give you a wider perspective of this world and make you a better businessman one day> ― ・・・
【和訳(直訳)】選ぶことができて、あなたに世界の広い視点を与え、またあなたをよりよいビジネスマンにする科目は数えきれないくらいある。
<to choose from> は不定詞の形容詞的用法、<that will ~> は関係詞節で、それぞれが countless subjects を修飾しています。
18行目:to mention but a few
本書の解説にもありますが、「ほんの少しの例を挙げただけでも」の意味。この but は副詞で only の意味です。また、but を使わない以下のような類似表現もあります。
- to mention few
- to mention a few
- just to mention a few
31行目:内容把握
since these somehow seem to get ample share of one’s days [and nights] with very little expenditure of hard work or effort.
【和訳(やや直訳)】これらは、苦心や努力の支出ほとんどなくして、多くの昼夜の時間の割り当てを食ってしまうのだから
回りくどい言い回しの皮肉な表現。簡単に言えば、
「大して勉強にはならず、それでいて時間を浪費してしまいがちだから」
ということです。
設問
問3
recommend という動詞の語法に関する問題です。
recommend はさまざまな形・文型で使うことができるのですが、この問題を解く上で重要なポイントは以下の文法事項です。
命令・提案・要求・主張系の V ⇒
- + that + S + should + V原形(英)
- + that + S + + V原形(米)
このことは、一般的には仮定法現在という文法事項で説明されますが、文法用語はどうでもよいです。とにかく、recommend が that節 を目的語にとる場合は、この2パターンがあるということを頭に叩き込んでください。
命令・提案・要求・主張系の V は、どれも心の中で「人に対して何かをしてほしい、しろよ」と思っている表現なので、使う助動詞は should(~すべき)です。アメリカ英語では should 無しのV原形を使いますが、これは、心の中で命令文を言っているからと考えることができます。
入試問題では特にこの should 無しのV原形が出題されることが多いです。例えば、I recommended that she go のような文を違和感なく読めるようにしておいてください。
また、recommend は
- recommend O to do
という形でも使うことができます。このことはなかなか厄介で、命令・提案・要求・主張系の V の中でもこの形をとれるものととれないものがあります。有名なところでは、demand, suggest, insist などはこの形をとることができないので注意してください
(例:I suggested her to go.)
ということでこの問題の正解は 3 になります。命令・提案・要求・主張系の V で使う助動詞は should であって、will を使うことはありません。(仮にそのことを知らなかったとしても、主節の動詞が recommended という過去形で、will が時制の一致しないのもおかしいですね。もっとも would にしても誤りではありますが)
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