基礎英語長文問題精講 問題38 解説

投稿日:

名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。

本文

4行目:surrounding

ここでの surrounding という単語は「環境」という意味。動詞の surround取り囲む)から、「周囲を取り囲むもの」⇒「環境」という意味が生まれました。

また、ここでの surrounding は 2行目の environment の言い換えになっています。「環境」という意味を表す以下の三つの単語は、しばしば言い換えで使われることを覚えておきましょう。

  • environment
  • circumstance
  • surrounding

4行目-:文構造

Ecological considerations delayed (for several years) the building of the Alaska pipeline <that was intended to carry oil (southwards) (from the rich Alaskan oil fields)>.
【和訳(直訳)】生態学的な配慮は、豊かなアラスカの油田から南の方へ石油を運ぶことになっていた、アラスカ・パイプラインの建設を数年間遅らせた。

  • delay は基本的には他動詞(~を遅らせる)。for several years が挿入されていることと、その後に目的語があることに気づくこと
  • southwards は「南の方へ」という意味の副詞-ward(s) は「~の方向(へ/の)」という意味を表す接尾辞
    例:backward(後ろへ)、outward(外へ向かう)、toward(~の方に)

12行目-:out of hand

things get out of hand
【和訳】物事は手の負えないものになってしまう

out of hand は、有名な意味として

  1. 手に負えない
  2. 即座に

の二つがありますが、ここでは 1 の意味。out of control(制御できない)のほぼ同義語です。

16行目:insecticide

注釈がありますが、なくても分かるようにしておきましょう。-cide は「切る、殺す」などの意味がある接尾辞で、下のような例があります。

  • decide(de 離れて + cide 切る = 決断する
  • suicide(sui 自分で + cide 殺す = 自殺する
  • insecticide(insect 虫 + cide 殺す = 殺虫剤
  • herbicide(herb 草 + cide 殺す = 除草剤

18行目:比例の as

the substance becomes concentrated more and more strongly as the food chain is ascended
【和訳】食物連鎖が上に行くにつれて、(有害)物質が濃縮される

この as は「~につれて」と訳す、いわゆる「比例の as」です。比較級である more and more や、変化・移動系の動詞である becomeascend が使われていることが目印になります。詳しくは以下の記事を参照してください。
【関連記事】基礎英語長文問題精講 問題20 解説

18行目:that の見分け方、文構造

It was probably
┌ the development of the atom bomb
and
└ the [realisation] [that he had (in his power) a means of destroying the whole world
that awoke man to his responsibilities.
【和訳(直訳)】人間にその責任に気づかせたのは、おそらく、原子爆弾の開発と、全世界を滅ぼす手段を意のままにすることができるようになったという認識なのだ。

まず、一つ目の that同格。説明される名詞が realisation認識)ですが、このような「考え」系の名詞に続く that は同格の可能性が高いです。
(例:thought, idea, assumption, recognition, knowledge, belief, doubt 等)
本当に同格の that であるということは、that 節の中身が完全文であることを以て判断します。また、これらの名詞は、派生元の単語が動詞である場合、that 節を目的語にとることができるので、そのこともヒントになります。
(例:realize that ~, think that ~, assume that ~, know that ~ 等)

そして、二つ目の that は強調構文です。強調構文については「it is と that を取っ払った残りの要素で、元の文が組み立てられる」ということに注目してください。
例:
  It is English that he learned in this school.
He learned English in this school.

本文でも、It was と that を取っ払った残りの要素で、以下のように文を組み立てることができますね。
  It was probably the development of the atom bomb and ・・・ that awoke man to his responsibilities.
⇒ Probably the development of the atom bomb and ・・・ awoke man to his responsibilities.
(原子爆弾の開発と・・・が、人間にその責任に気づかせた)

ただし、強調構文の that と 関係代名詞 that との区別はちょっと難しいです。今回の本文もそうですが、It is 名詞 that + 不完全文 という形があった場合、形の上からは強調構文と関係代名詞を区別することはできません。この場合、前の文以前に、it が指しているものがあるか?ということが切り分けのポイントになります(指しているものがあったら関係代名詞)。ただ参考までに、私の経験上、この形は強調構文が多いということは言えます。

設問

問D

このことは、最近の環境問題の大きなポイントですので、背景を理解しておきましょう。先進国は「環境問題は世界で力を合わせて対処しましょう。あまりガスは排出しないでね(=経済発展を抑えてね)」と途上国に呼び掛けています。それに対し途上国は「いやいや、今起きている環境問題はあんたら先進国が排出したガスのせいでしょ?俺たちはもっと経済発展したいから今まで通りやるよ」と主張し、対立しているのです。
【関連記事】基礎英語長文問題精講 問題35 解説

構文把握力精読力をつけたい方にはこちらがオススメです。

最高レベルの英語力を身につけたい方はこちらもチャレンジしてみてください。

  • B!