名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
5行目:as we understand them(as の用法)
joy and happiness <as we understand them (in an everyday or worldly sense)>
【和訳】私たちが日常的または世俗的な意味で理解しているような喜びや幸せ
解説では、この as は「『様態』を表す接続詞」とされていますが、一般的な解釈では「『名詞限定の節を導く』接続詞」です。 詳しくは以下の記事を参照してください。
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13行目-:in fact ~ but(譲歩構文)
Now all of these factors are, in fact, sources of happiness.
But in order for an individual to ・・・
【和訳】さて、確かにこれらの要素は幸せの源だ。しかし、個人が・・・するためには・・・
有名な譲歩構文の一つに indeed ~ but(確かに~だ、しかし)があります。ここで出てきている in fact ~ but という形はあまり一般的ではありませんが、in fact と indeed は基本的によく似た意味であり、また文脈的にも、これは譲歩構文と考えるべきでしょう。
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35行目:apathy
36行目:compassion
解説にもある通り、apathy(無感動、無関心)という単語は、
a-(無)+ –pathy(感情)
という語源から成り立っています。-pathy を含む単語は解説で紹介されていますので、ここでは、接頭辞 a– を含む単語を紹介しておきます。
- anonymous(匿名の):an-(無)+ -onymous(名前)
- anarchy(無政府状態):an-(無)+ -archy(主の、指導者)
- atheism(無神論者):a-(無)+ -the-(神)+ -ism(主義,学説)
また、36行目に compassion(同情、共感、思いやり)という単語がありますが、これは、
com-(共に)+ –passion(感情)
という語源から成り立っています。この意味の接頭辞 com– を使った単語には以下のような例があります。
- company(会社):com-(共に)+ pan(パン)= 共に食事をする人々
- compose(構成する):com-(共に)+ pose(置く)
- compromise(妥協する):com-(共に)+ promise(約束する)
つまり、ここで使われている compassion は、語源的にも文脈的にも、apathy の反意語であることが明らかです。また、apathy の反意語は sympathy(同情)ですが、compassion は、その同義語(言い換え)であるとも言えます。
35行目:within
a degree of stability within
【和訳】ある程度の内部的安定
within の変わった使い方です。文法的に考えるなら、以下の二つの可能性があります。
- 前置詞 within の目的語 yourself または your mind が省略されている
- within が形容詞として使われている(stability を後置修飾している)
ただし、いずれにしてもあまり標準的な使い方ではありません。文脈的に意味を把握することは難しくない箇所ですので、受験生はあまり気にしなくてよいでしょう。
設問
問6:正誤問題
- 選択肢①:
「物質的豊かさ」については 11行目前後で言及されているが、「捨てて」とは言ってない - 選択肢②:正解
「~があるとき、はじめて…」は若干言い過ぎ感もあるが、23~24行目や、最終段落の内容は、そうとも読める - 選択肢③:
「友人」については 12行目で、「健康」については 8行目で言及されているが、14行目の But 以降で、それらは主要でないことが述べられている - 選択肢④:
「他人のために使う」云々は全く述べられていない
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