名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
10行目-:文構造
(If a man's thinking leads him
┌ to call (in question) ideas and customs <which regulate the behaviour of those about him>,
├ to reject beliefs <which they hold>,
└ to see better ways of life (than those they follow)),
it is almost impossible for him,
(if he is convinced of the truth of his own reasoning,)
[not to betray
(by silence, chance words, or general attitude)
that he is different from them and does not share their opinions].
15行目:betray
betray ・・・that he is different from them and does not share their opinions
【和訳】自分が彼らとは異なり、・・・彼らと同じ考えを持ってはいないということをうっかり言ってしまう
betray には「裏切る」と「うっかり言う・表す」という、一見かなり異なる二つの意味があり、覚えにくいと感じている人もいるのではないでしょうか。
実は betray の語源は trade と同じで、「引き渡す」という意味の言葉から由来しています。「人・国・味方などを敵に売り渡す」と、それは「裏切る」ということでもあり、「秘密などを敵に渡す」と、それは「漏らす、(うっかり)言う」ということでもありますね。こう考えれば、二つの意味を無理なく覚えることができるでしょう。ちなみに traitor(裏切者)という単語も、同じ語源です。
15行目:形容詞の chance(偶然の)
by silence, chance words, of general attitude
【和訳】沈黙や、ふともらす言葉や、一般的な態度によって
一読したときにこの chance を理解できたでしょうか?ここで使われている chance は「偶然の」という意味の形容詞で、本書ではこれを「ふともらす」と意訳しています。by chance(偶然に)という有名な熟語がありますが、この chance が形容詞になったものと考えればよいでしょう。
こう説明すると、大したことではないように思えるかもしれませんが、chance に形容詞があるということはなかなかの盲点だと思います。2013年の慶應法学部の長文問題で以下のような一節がありました。
if the recording people's DNA profiles did not depend on the chance circumstance of their having passed through the hands of the police
(もし人々のDNA情報の記録が、彼らが警察に捕まった偶然の状況に頼るのでなければ)
設問は、この chance が空所になっていて、10個の単語(全て形容詞)の中から選んで補充させるというものでした(一つの段落の中で chance を含む4つの単語が空所)。文章自体が難解だったこともありますが、おそらく正答率がかなり低い難問だった思います。
18行目:prefer to do rather than (to) do
some would prefer to-day, to face death rather than conceal their thoughts
【和訳】今日(でも)、考えを隠すより、死を選ぶ人もいるだろう
prefer というと prefer A to B の形が有名ですが、このように
prefer A rather than B
の形もあることを覚えておきましょう。目的語は不定詞(to do)の場合は、本来
prefer to do rather than to do
となるべきですが、後半の to はしばしば省略されて
prefer to do rather than do
となります。構文把握の際に気を付けてください。
設問
問3
V A as B(A を B と見なす)の形をとる動詞はなるべくたくさん覚えておきましょう。
この問題では「1語」でということなので、
regard, consider, see, view, take
などはいずれも正解です。
2語であれば、
think of, look on[upon]
も同義です。
問4
必修単語の shed ですが、書けと言われるとなかなか難しい単語です。
shed にはさまざまな訳語が当てはまりますが、共通するのは「何かを放り出す、投げ捨てる」イメージです。以下の例を見て、使われる目的語・訳語・共通するイメージをセットで覚えておきましょう。
- shed skin(脱皮する)
- shed hair(毛が抜け落ちる)
- shed blood/tears/sweat(血/汗/涙を流す)
- shed light(光を放つ)
- shed weight(体重を落とす)
問6
悪問です。正解は
① the bounds of his experience
② the power of his imagination
とのことですが、
① the bounds of his imagination
② the power of his experience
も英語として違和感はなく、ダメな理由が見当たりません。
(異論のある方はお知らせください)
構文把握力や精読力をつけたい方にはこちらがオススメです。
最高レベルの英語力を身につけたい方はこちらもチャレンジしてみてください。