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基礎英語長文問題精講

基礎英語長文問題精講 問題29 解説

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名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。

本文

2行目:more or less

more or less という表現は、「△多かれ少なかれ」と訳されがちですが、この訳は意味が通らないことことが多く、あまりおすすめできません。本書の語句解説にもある通り、more or less は almost の同義語と考え、「ほとんど」と訳しましょう。

4行目:at all

if we give the matter any thought at all, ・・・
【和訳】もしこの問題について少しでも考えてみれば、・・・

at all という表現は、否定文・疑問文・肯定文・条件文でそれぞれいろいろな訳し方があるので、面倒と言えば面倒です。ただし、英語で考えると実はシンプルで、at all とは、否定文であろうが何文であろうが、

  • in any way(どんな方法であれ)
  • to any degree(どんな程度であれ)

ということを意味します。本書で紹介されている4つの例文で考えてみましょう。

  • I don't know him at all.【否定文】
    (彼をどんな程度であれ知らない ⇒ 全く
  • Do you love her at all?【疑問文】
    どんな程度であれ彼女を愛しているのか ⇒ いったい、少しでも、本当に
  • Do well if you do at all.【条件文】
    どんな方法[程度]であれ、するのならちゃんとやれ ⇒ どうせ、少しでも
  • We were lucky to win at all.【肯定文】
    どんな方法[程度]であれ、勝てて運がよかった ⇒ とにかく

こう考えればすっきり理解できるのではないでしょうか。

4行目:give the matter any thought

if we give the matter any thought at all, ・・・
【和訳】もしこの問題について少しでも考えてみれば、・・・

give + O + 動作名詞 という表現があり、これは V (+ 前) + O と言い換えることができます。例えば

  • give it a thought(それに考えを与える)
    think about it(それについて考える)
  • give it a try(それに試みを与える)
    try it(それを試す)
  • give it a twist(それにねじりを与える)
    twist it(それをねじる ⇒ 工夫する)

ただし「≒」と記したように、この書き換えは完全なイコールではありません。不定冠詞を使った give it a thought などの表現の方には、「ちょっと~してみる」的なニュアンスがあります。

今回の本文もそれに準ずる形です。give the matter any thought は、think about the matterany(いかなる程度でも)のニュアンスが加わっているので、「そのことを少しでも考えてみる」という意味になります。

7行目-:「;(セミコロン)」の用法

Language is not something that is inherited; it is an art that can be passed on from one generation to the next only by intensive education.
【和訳】言語は遺伝的に受け継がれるものではない。(むしろ)ある世代から次の世代に伝えることができる技術なのである。

コロンとセミコロンの違いについてはいろいろな説があります。また、実際には同じように使われることもありますが、原則として以下のように考えることをおすすめします。

  • :(コロン)  ⇒ イコール、言い換え
  • ;(セミコロン)⇒ 接続詞的(and, but, or 等)

今回の本文ではセミコロンが使われており、その前の文が否定文になっています。文脈を考えると、ここでのセミコロンは ratherinstead のような逆接接続副詞的な働きをしており、not ~ rather[instead]…(~ではない。むしろ…)という相関構文になっていると考えるべきでしょう。
 Language is not something that is inherited; it is an art ・・・
=Language is not something that is inherited; rather, it is an art ・・・

8行目:art

art を見たら「芸術」と訳したくなると思いますが、「技術」という意味もあることに注意してください。
例:

  • art of making money:金を稼ぐ技術(⇒コツ)
  • martial art:戦闘の技術 [=武術、武道]

21行目:具体化の indeed

All of history would disappear, ・・・(中略). Indeed, it is very likely that we should not think at all.
全ての歴史は消えてしまうだろう、・・・(中略)。いやそれどころか、人間は考えることを全くしなくなってしまうだろう。

indeed というと「実際(に)」と訳す人が多いのではないでしょうか。もちろんそれで通じる場合もありますが、実はその訳ではピンと来ないことのほうが多いです。本文のような接続副詞的な indeed の働きは、一言で言うと「前文の具体化」です。訳語としては、「もっとはっきり言えば」「それどころか」などが当てはまります。

  • He is a cautious fellow, indeed, a timid man.
    (彼は用心深い奴だ。はっきり言えば、臆病者だ)
  • I don't mind at all. Indeed, I would be delighted to help.
    (私は全く嫌ではないです。それどころかむしろ喜んでお手伝いしますよ)

このことは、in fact にも当てはまります。思い切って indeed や in fact を「実際に」と訳すのをやめてみましょうindeed, in fact具体化のディスコースマーカーで、訳は「もっとはっきり言えば」または「それどころか」です。これを意識するだけで、文脈の理解がぐっと楽になるでしょう。
【関連記事】ディスコースマーカー一覧

設問

問2:except と without の違い

悩んだ人はまず日本語で考えてみましょう。

  it is an art that can be passed on from one generation to the next only by intensive education.
(それは、集中的な教育によってのみ、・・・伝えることができる技術だ)

= it is an art that can not be passed on from one generation to the next (  ) by intensive education.
(それは、集中的な教育によって(  )、・・・伝えることができない技術だ)

元の文は肯定文ですが、書き換えた文の方は否定文になっていることに注目します。(  ) には否定的な言葉を入れないと、否定×否定=肯定 の意味になりませんね。よって、日本語は

集中的な教育によって(でないと)、・・・伝えることができない技術だ)

になることが分かります。しかし、ここまで分かっても、正解の except ではなく、without を入れてしまった人がいるのではないでしょうか? except は「~を除いて」という意味で、除外・例外を表します。言い換えると、except の後ろにあるものが例外条件だということです。本文に当てはめると「それは、基本的には・・・伝えることができないが、『集中的な教育』は例外で、それを伝えることができる」ということになります。しかし、without にはこのような、除外・例外の意味はありません。


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管理人

都内の某予備校で講師をしています。受験生の役に立つ情報をどんどん提供していきたいと考えていますので、「この文法が分からない」「こんなまとめが欲しい」など、ご意見・ご要望・ご質問等がありましたら、コメントを通じてお気軽にご連絡下さい。

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