名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
2行目:what S is all about ~
it is what college is all about
【和訳(直訳)】それ[=学問]が、大学が関することの全てだ。
【和訳(意訳)】学問こそが大学の目的だ。
本書の解説にもありますが、what S is all about ~ という表現は分かりにくいので、解説を補足しておきます。
この文がしっくり来ない人は、以下のように考えると分かりやすいかと思います。
This movie is all about war.(この映画は全て戦争に関している)
↓
What is this movie is all about?(この映画は全て何に関するのですか?)
↓
War is what this movie is all about.
(戦争がこの映画が全て関することだ ⇒ 戦争がこの映画が関することの全てだ ⇒ 戦争こそがこの映画のテーマだ)
本文の当該箇所では、It が指しているものは1行目の academic learning(学問)です。よって、同様に以下のように考えます。
College is all about academic learning.(大学は全て学問に関している)
↓
What is college all about?(大学は全てに何に関するのですか)
↓
Academic learning is what college is all about.(学問が大学が全て関することだ ⇒ 学問が大学関することの全てだ ⇒ 学問こそが大学の目的だ)
また、以下のような表現として使われることもあります。
- That’s what business is all about.(ビジネスとはそういうものだ)※悟った調子で
- That’s what I’m all about.(これが私のことに関する全てです)※自己紹介を終えたとき
- That’s what this is all about.(それが事態の全容です)※何かの説明を終えたとき
22行目:prepare A for B
does not prepare you specifically for any given vocation
【和訳(直訳)】あなたに特にある職業の準備をさせない
prepare A for B という表現は、A が物である場合が多いですが、A が人の場合もあり、以下の違いがあるので注意してください。本文では 2 の用法です。
- prepare A(物) for B(人・物)「B(人・物)のために A(物)を準備する」
- prepare A(人) for B(物) 「A(人)に B(物)のための準備をさせる」
24行目-:文構造、A, B の並列
This fundamental learning has to do also with [the skills of reasoning and thinking critically], [habits of analysis and of judgement].
【和訳】この基礎的な学問はまた、批判的に推論・思考する技術や、分析的思考の習慣や判断の習慣とも関係がある。
A, B という形で、二つの名詞(句)がカンマをはさんで並んでいる場合、まずは「同格」で考えるのが原則です。しかし、カンマが and の代わりをして「並列」になることもあります。今回の本文では、skills(技術)と habits(習慣)が同格であると考えるのは解釈として苦しく、並列と考えるべきでしょう。
26行目-:文構造、文法事項諸々
We hope
[that (in your college years) you will develop these skills and abilities (to an extent <far greater than you now command them>)],
and
[that you learn enough history (so that you are not doomed to repeat it)].
【和訳】我々は、在学中に君たちがこれらの技術や能力を、現在使いこなしているよりもっとずっと進んだ程度にまで高め、また悪い歴史を繰り返さないよう、十分に歴史を学んでくれることを望む。
- We hope の目的語として二つの that節が並列されている
- to ~ extent は「~の程度(まで)」(例:to some extent)。その extent を far greater … が 後置修飾している構造
- far は比較級 greater を強調し、差が大きいことを表す表現。「ずっと、はるかに」などの訳に相当
- so that ~ は so that S may/can/will という、いわゆる目的構文「S が~できるように、するために」の助動詞が省略されたもの。この構文は、so, that, 助動詞 のいずれも省略されることがあるので要注意
31行目-:同格のカンマ
The third kind of learning has to do with the development of characteristics of [traits of mind and spirit], [a value pattern].
【和訳】三番目の種類の学問は、頭と精神の特質や特徴、つまり価値観の啓発と関係がある。
カンマは同格で、traits of mind and spirit(頭と精神の特質や特徴)と a value pattern(価値観)が同格関係。同格のカンマを使った言い換えは「抽象⇒具体」が一般的ですが、ここでは「具体⇒抽象」の珍しいパターンです。
内容把握
私なら、「筆者が学生に習得してほしいと考えている三つのことを簡潔に列挙せよ」という設問を追加します。解答を考えてみてください。
3行目に three kinds とあるので、これ以降に三種類のことが述べられていることが分かります。その直後の 4~5行目に The most obvious one ~ とあるので、それが一つ目ということもすぐ分かるでしょう。また、31行目には the third kind とあるので、三つ目も明らかです。
問題は二つ目で、本文にははっきりと「二つ目」とは書かれてないので、内容から読み取る必要があります。7行目以降で、一つ目の「職業に関する学問」が実は一番目(chief)ではなく二番目(secondary)に重要と述べられています。そしてこれを具体化するように、10目以降(下線部A)のアインシュタインの引用の中で、foremost とあるので、ここで述べられていることがこれが一番目に重要なもの、つまり二つ目だと分かります。foremost が chief の言い換えになっていることに注目してください。
解答例:
- 職業に関する学問
- 自主的に考え判断する一般的な能力
- 自分や自分の住む世界の中に調和を見出す価値観
設問
問4:関係代名詞 what と 疑問代名詞(間接疑問文)の whatの見分け方
- I cannot guess what he was attempting.(疑問代名詞)
- Tell me what you remember of it.(関係代名詞)
関係代名詞の what と疑問代名詞(間接疑問文)の what は形の上からでは見分けがつきません。どちらとも解釈できる場合もありますが、私は以下のように考えています。
- 肯定文 :関係代名詞のことが多い
- 疑問文・否定文:疑問代名詞のことが多い
考え方として、疑問文・否定文では、要は自分が「分からない」から、人に尋ねたり、自分が「分からない」と言うわけです。分からないのですから、間接”疑問文“のほうが相性がよいはずですよね。
ただし、繰り返しますが、どちらとも解釈できる場合もありますので気を付けてください。特に肯定文の場合は、どちらとも解釈できる場合が多いように感じます。
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