名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
1行目:what if ~?
what if ~? は本書の解説にもある通り「もし~だとしたらどうだろう」等の意味で、
what (will happen) if ~ や what (will you do) if ~ などの省略表現と考えられます。(仮定法であれば、will の部分は would になります。)
この表現は、以下のポイントに注意してください。
- 節が1つしかない(主節が省略されているから)
- 平叙文の語順(疑問文の部分が省略されているから)
例えば、以下は2012年日本女子大学の入試問題(長文の中の空所補充)ですが、このような問題では、文脈を見ずとも形だけで what if(選択肢a)が正解だと分かります。
・・・but ( ) the risk increases to one in a hundred or one in twenty-five?
a. what if b. when c. where d.why
【和訳】しかし、そのリスクが1/100や1/25まで増えたらどうだろうか。
15行目:humanity
humanity には「人間性」と「人類」の意味がありますが、本書の和訳にもある通り、ここでは「人類」の意味。17行目の human beings との言い換えになっています。
17行目~:文構造
They fear that future humans will choose a direction <away from thinking> and <toward automation>.
【和訳(直訳)】彼らは、未来の人間が、考えることから離れた、且つ自動化に向かう道を選ぶことを恐れている。
<away from thinking> と <toward automation> は、どちらも a direction を修飾する形容詞句。
20行目~:文構造
It is , of course, hundreds of years too early to know, but ・・・
【和訳】もちろん、それ(彼らが正しいかどうか)を知るには何百年も早いが、・・・
この it を形式主語の it と解釈しないように注意!it が指しているものは、前の文の Are they right?(彼らが正しいかどうか)で、主語の it と 節の終わりの know の間に O – V 関係が成り立っています。
(= It is, of course, hundreds of years too early to know whether they are right, but・・・)
このことは、この節が、目的語が欠けた他動詞の know で終わっていることから判断できます。
(参考:本書 P45 の「be + 形容詞 + 不定詞」の解説)
また、この文が of course ~ but … の譲歩構文であることも押さえておくこと。
23行目:while(S may V)
While computers may be good colleagues, they can only do exactly what humans tell them to do.
【和訳】コンピュータはよい仲間かもしれないが、人間がするように言ったことしかできない。
本書の解説にある通り、この while は though (even though)の意味。while にはいろいろな訳し方がありますが、全てに共通して言えるのは「対比」のニュアンスです。以下のように考えれば、代表的な3つの意味を無理なく関連付けて覚えることができるでしょう。
- 「~の間に…」:同じ時間内に起こった二つの事柄の対比
- 「~である一方…」:二つの事柄の対比
- 「~だが…」:2 の用法で、対比のコントラストが強い場合
2 と 3 は、区別がつきにくい場合も多いです。
また、ここでの may は、while と相関する、S may V, but …(SV かもしれない、しかし…) という譲歩構文の変形バージョンです
27行目:文構造
・・・ people know that they will never be able to have a life free from computers (in the future), ・・・
【和訳】人々は、将来コンピュータのない生活は決してできないことを知っている
以下の3点に注意
- they が指しているものが people であること
- have が使役動詞であること
- free from ~(~がない)
設問
問3
意外と難しい問題です。この they は、二つ前の文の they(17行目)と同じですが、この近辺だけ読むと、直前の文にある such people(ボタンを押すだけの人々)を指しているようにも見えなくありません。
まず一つの考え方として、段落の趣旨を踏まえます。段落の趣旨は多くの場合、段落の最初の文に含まれており、本文では13~15行目(下線部A)の「『多くの人々が、コンピューターが人間に悪影響を与えるのではないか』という懸念している」が趣旨になります。
この内容は、14~17行目にかけて、以下のような言い換えがされています。「人々」の部分だけでなく「懸念している」の言い換えにも注目してください。
- many people have serious doubts ~(14行目)
- These people are afraid ~(15行目)
- They fear ~(17行目)
また、20行目の Are they right? の they と、22行目の they are wrong の they が同じだということも押さえてください。Are they right? という疑問文に対する答えが、they are wrong ということです。
問題は、17行目の they と 20行目の they を結び付けることですが、段落の趣旨や、上のように何度も言い換えをしていることを踏まえ、これは大事な they で、最初に出てきた「懸念している人々」ではなかろうかと当たりをつけます。Are they right? とは「懸念している人々は正しいか?(懸念することは当たっているのか)」と考えれば筋も通ります。
このことは、29行目の they are becoming less afraid of them で明らかになります。この段落は、22行目の they are wrong を具体化している(「なぜそれが間違っているか」=「懸念することが当たっていないか」を説明している)段落ですので、「人々がだんだん懸念しなくなっている」ということは、この「人々(they)」は明らかに「懸念している人々」ですよね。
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