名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
3行目:believe O to be C
[What people believe the duties of men and women (to be)] differs from one country to another.
【和訳(直訳)】人々が男性や女性の義務だと信じていることは、国によって異なる。
believe O (to be) C(O が C だと信じる)を見抜くことがポイントです。
例えば、
People believe cooking (to be) the duty of women.
(人々は料理を女性の義務だと信じている)
という文の、cooking を 関係代名詞 what に置き換えた文です。
この to be は省略可能で、
believe O C と言うこともできます。
このような「省略できる to be」をとることができる動詞は他に以下のようなものがあります。
- think O (to be) C(O が C だと思う)【第五文型】
- consider O (to be) C(O を C だとみなす)【第五文型】
- seem (to be) C(C のように見える)【第二文型】
- prove (to be) C(C だと判明する)【第二文型】
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10行目:range from ~ to …
・・・ their work ranges (all the way) from menial tasks to the professions.
【和訳】彼女らの仕事は、雑用から専門職までさまざまにわたっている。
ちょっとした語彙の知識ですが、range は名詞の意味は「範囲」で、動詞では((範囲が)~に及ぶ、渡る)という意味になります。from や to とセットで使われることが多いということも覚えておくとよいでしょう。
14行目:more often than not(たいてい) ≒ usually
More often than not, a woman's job outside the home is simply a means of earning a living until she is married ・・・
【和訳】たいてい、女性の家の外での仕事は、単に結婚するまでの成果費を稼ぐ手段であり・・・
more often than not は普通「たいてい」と訳され、ほぼ usually と同義とされています。有名な表現ですので、つべこべ考えずに丸暗記してしまうのが早いのですが、あえてなぜこのような意味になるのか、筆者なりの解釈を紹介したいと思います。
まず、代表的な頻度の副詞を頻度順に並べ替えると以下のようになります。
always(いつも)> usually(たいてい)> often(しばしば) > sometimes(時々)> occasionally(たまに)> seldom(めったに~ない)> ・・・
次に、more often than not の not が何かと考えてみると、not often ではないかと考えられます。
ということは、more often than not (often) は、「しばしばでないよりもよりしばしば」ということになり、「それって結局『しばしば(often)』じゃないのか?」というツッコミを入れたくなります。
しかし、もしただ「しばしば」を表現したいのであれば、普通に often と言えばよいのではないでしょうか?それをわざわざ more often than not と長たらしい表現を使うからには、何かそこに強調したい意図が働いているのではないかと思うのです。これが、more often than not が often よりも usually に近いと考える理由です。
これは、may[might] as well do を「~した方がましだ」と訳すのに通じるところがあると考えています。
この表現は may[might] as well do as not do という原級比較の省略表現で、直訳すると「~しないこととすることは同じくらい十分によい」ということになります。ということで、「しないこともすることも同じ(大して変わらない)」のですが、結果として、as not do の部分は省略されてしまっているので、強いてどちらかと言えば、ほんの少しだけ「すること」の方がよいので、「~した方がましだ」になると考えると納得が行きます。
まとめると、「省略する」あるいはその逆に「わざわざ長たらしい表現を使う」ということには、それぞれそれなりの理由があるということです。
14行目~:内容把握
本書の設問では特に突っ込まれていませんが、私なら
「本文で言及されている『女性が家の外で働く理由(目的)』を全て列挙せよ」
という設問を追加します。国立大学の記述問題で出題されそうな問題ですね。
このような問題に対応するためにも、日頃からディスコースマーカーを意識して長文を読むことが大切です。ここでは特に注目すべき文言は、20行目の another reason です。another があるということは、その前に述べられていたことも理由だったということになります。
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その最初の理由が、14行目の More often than not で始まるくだりです。この文は、16行目に or があるので、この中に2つの理由があると考えることができます。
そして、20行目の another reason から始まる文も、24行目に or because があることから、2つの理由があることになります。
ということで、本文で言及されている『女性が家の外で働く理由(目的)』は、以下の4つです。
- 結婚する前に自分の生活費を得るため
- 結婚した後に世帯の収入を補うため
- 大学での勉強を通して得た興味を満たすため
- 大学で学んだ分野で何らかの奉仕をすることが自分が住む地域社会で必要とされているため
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