名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
5行目:without A or B(設問10-A)
without pictures or conversations
【和訳】「絵も会話もない」
「without A or B」 は 「not A or B」 同様「AもBも(~)ない」という全否定になります。「AかBを(~)ない」と訳さないこと!
8行目:文構造、接続詞の for
… , for the hot day made her feel very sleepy and stupid.
【和訳】「というのも、暑い日だったので、彼女はひどく眠くなり、ぼーっとしていたから」
for が接続詞「…、というのも[というのは]、~」だと見抜くこと。
以下のように for を前置詞、made を過去分詞「~された」と考えてしまっては、made の後に目的語 her があることが説明できませんし、文意もおかしくなります。
[誤]… , for the hot day <made her feel very sleepy and stupid>.
11行目:関係詞の非制限用法
, when suddenly a White Rabbit with pink eyes ran close by her
【和訳】「するとそのとき、突然にピンク色の目をした白ウサギが彼女のそばを走っていった」
ここでの 「, when (= and then)」は 関係代名詞の非制限用法と考えるべきでしょう。
「,(カンマ)+関係詞」の形を見たら、基本的には以下のように考え、前から訳します。
, 関係代名詞(which, who 等)
= 接続詞(and, but, for)+ 代名詞(that, he 等)
例:「… , who ~」 = 「… and he ~」(…。そして彼は~)
, 関係副詞(when と where)
= 接続詞(and, but, for)+ 副詞(then, there)
例:「… , where ~」 = 「… and there ~」(…。そしてそこで~)
接続詞は、順接の and のことが多いですが、たまに逆説の but や、理由の for のつながりのこともあるので注意が必要です。
13行目:so very
There was nothing so very remarkable in that; nor did Alice think it so very much out of the way to hear ~.
【和訳】そんなことは別にそんなに珍しいことではなかったし、また~を聞いても、アリスはそれがそんなに異常なこととは思わなかった。
このように so と very が同時に使われることがあります。口語的ですが、文法的には問題ない正しい表現です。
設問
問1(ウ)
get tired (飽きる)に続く of sitting ~ と of having ~ が並列されています。
Alice was beginning to get very tired
┌ of sitting by her sister on the bank
┤ and
└ of having nothing to do
直訳:アリスは、土手の上で姉と並んで座ることと、何もせずにいることに飽き始めていた
問9
A before B という表現は、一般的には「Bより前にA」と訳しますが、要は出来事の発生順が A⇒B ということであり、文脈によっては「Aの後にB」と訳したほうが自然なことがあります。特に主節が否定文のときはその傾向が強いです。
例:I didn't have time to recover before I came down with another horrible cold.
直訳:私は別のひどい風にかかる前に回復する時間がなかった
意訳:私は回復する間もなく別のひどい風邪にかかってしまった
ここでは、アリスにさまざまな出来事が連続して起こっている場面であることを踏まえ、「止まる瞬間なく」⇒「深い穴に落ちていることに気づいた」という順に出来事が起きたので before を選びます。ちなみに Alice had not a moment ~. はイギリス英語特有の一般動詞 have の否定文の作り方。
選択肢(イ)の unless は例外条件を表す表現で、「深い穴に落ちていることに気づいたのでなければ止まる瞬間がなかった」は意味不明。また、unless は直接法現在で使うのが普通であり、直接法過去や仮定法で使うのはまれということも覚えておくとよいでしょう。
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