問題
次の英文の( )に入れるのに最も適当なものを、1~4のうちから一つ選べ
Last night, a man was found ( ) expensive cars from the car dealer.
イ. stealing ロ. stole ハ. stolen ニ. to steal
[2017 日本女子大・理]
解答・解説
正解 イ(stealing)
Last night, a man was found stealing expensive cars from the car dealer.
(昨夜、ある男が自動車販売店から高い車を盗んでいるのが見つかった。
自信満々で ロ の to steal を選んだ人はいませんか?
「知覚動詞の文は受動態になったら、補語はto不定詞になるはず」
と考えた人は非常に惜しいです。
この問題自体の解説をする前に、前提として、上で述べた「知覚動詞の文は受動態になったら、補語は to不定詞になるはず」の話を、簡単に説明しておきます。
- They heard her cry. (彼らは彼女が泣くのを聞いた)
という知覚動詞を使った第五文型の文は、受動態になると
- She was heard to cry (by them).(彼女は泣くのを聞かれた)
のように、補語の sing(原形不定詞)は、to sing(to不定詞)に変わります。これは英文法の重要なルールの一つです。
このことを踏まえた上で、この問題を正解するには、以下の2つのポイントを押さえる必要があります。
findは知覚動詞ではない!
まず、find は知覚動詞ではないということです。「知覚動詞」には、例えば see, hear, feel などがあります。find には、「見つける」や「気づく」という意味があり、意味だけ考えると、知覚動詞の仲間に入れてもよいように思えるかもしれません。しかし、文法的には「知覚動詞」とは、
- 知覚動詞 + O + do/doing/done
という形をとることができる動詞と考えるべきです。特に、do(原形不定詞)をとることができるというのがポイントです。
一方、find には、たしかに知覚動詞に似た第五文型(OがCだと分かる、気づく)の用法はあるのですが、語法的には以下のような形で使われます。
- find + O + 名詞/形容詞/doing/done
つまり、find は補語に原形不定詞(do)をとることができません。よって、知覚動詞と呼ぶことができないのです(※少なくとも、純粋な知覚動詞と呼ぶべきではありません。私は find のことを「知覚動詞もどき」と呼んでいます)。
そのため、受動態になっても「原形不定詞が to不定詞に変わる」という例のルールが当てはまりません。上の問題で to steal が不正解なのはそのためです。
このような語法に関しては、それぞれの動詞ごとに決まっているものなので、面倒ですが、動詞ごとに覚えるしかありません。
to do に変えるのは原形のときだけ。doing のときはそのまま!
ポイントの二つ目です。They heard her sing. という文は、受動態になると She was heard to sing (by them) になるということを述べましたが、このように補語がto不定詞に変わるのは、あくまでも、元の文の補語が原形不定詞のときだけです。つまり…
- They heard her crying.(彼らは彼女が泣いているのを聞いた)
という文を受動態にしたときには
- She was heard crying (by them).(彼女は泣いているのを聞かれた)
のように、現在分詞 crying はそのままにしておいてOKなのです。
ということは、例えば以下のような問題があった場合に、
- The thief was seen ( ) away from the building.
( ) の中に入りうる語句としては、もちろん to run はOKですが、running も普通にOKだということを忘れないでください。入試問題には to run の方が圧倒的に多く出題されるので、意外とこのことは見逃されがちです。
このことを覚えておけば、今回の問題でも、find が知覚動詞かどうかということが仮に分からなかったとしても、イ の stealing を除外せずにすむでしょう。今回の問題に関しては…
- Last night, someone found a man stealing ~.
という能動態の文が
- Last night, a man was found stealing ~.
という受動態の文になっただけなのです。