例題
次の英文の( )に入れるのに最も適当なものを、1~4のうちから一つ選べ
The player ( ) my wife thought was the best won the tournament.
1. who 2. whom 3. of whom 4. as
解答・解説
正解 1. who
The player who my wife thought was best won the tournament.
(私の妻が最高だと思った選手がトーナメントで優勝した)
連鎖関係詞節に関する問題です。my wife thought という S+V があって、その後が動詞の was ですので、いかにも my wife の目的語が欠けているように見えます。よって、目的格の whom を選んでしまう人が非常に多いのですが、答えは 主格の who です。今回は、この答がなぜ whom ではなく who なのか?ということについて詳しく説明していきます。
連鎖関係詞節とは?
The player <who my wife thought was best> won the tournament.
「連鎖関係詞節」とは、ざっくり言うと
「think などの that節を目的語にとる動詞が埋め込まれている関係詞節」
と考えてください。厳密にはあまり正確な説明ではないのですが、受験生の方はこう考えておいて差し支えありません。
問題を解く上では、この that節を目的語にとる動詞 をしっかり把握しておくことが重要です。よく使われるものには以下のようなものがあります。
think, believe, suppose, say, tell, know, feel, fear, hear, wish
これらの動詞が含まれている関係詞節を見たら、「あ、これは連鎖関係詞節だ!」と気付かなくてはいけません。
連鎖関係詞節の構造
上の文の構造についてもう少し詳しく説明します。関係詞節の文は、2つの文を1つにつなぐことによって成り立っており、本題の文の場合は以下の2つの文をつないでいます。
The player won the tournament. + My wife thought he was the best.
(そのプレーヤーはトーナメントで優勝した)+(私の妻は彼が最高だと思った)
これをつなぐ手順は以下のようになります。
- 「the player」と「he」が同じものを指していることを確認する
The player won the tournament. + My wife thought he was the best. - 「代名詞」を「関係代名詞」に置き換える
The player won the tournament. + My wife thought who was the best.
(※主語なので主格にする) - 関係代名詞を文の先頭に移動させる
The player won the tournament. + who my wife thought was the best - 2つ目の文ごと、名詞(the player)の直後に移動させる
⇒ The player <who my wife thought was best> won the tournament.
となります。こうして見ると、連鎖関係詞節と言っても、意外と特別のことはせず、普通の手順で成り立っているのが分かるのではないでしょうか。この手順でポイントとなるのは「主語なので主格にする」というところですが、これも当たり前のことですよね。
連鎖関係詞節問題の解き方、訳し方
The player < ( ) my wife thought was best> won the tournament.
つまり、上のような問題を見たときには、
My wife thought [( ) was the best].
という元の文を思いつかなくてはいけません。was の前に欠けているものは主語。なので、関係代名詞も主格の who を入れるのです。
ここで一つ裏技をご紹介します。連鎖関係詞節の問題文を見たときには、埋め込まれている S+V を消してしまうのです(例:my wife thought)。
The player ( ) my wife thought was the best won the tournament.
こうしてしまえば、これはもう中学レベルの問題。was の前の主語が欠けているので、主格の who を入れればよいということは簡単に分かりますね。
ただし、繰り返しになりますが、これをするためには、前述の that節を目的語にとる動詞(think 等)をしっかり把握しておく必要があります。これらの動詞を見たら、その主語とセットにして消す、と覚えておいてください。
think の語法
ところで、この問題の正答率が低いのにはもう一つ理由があります。それは think という動詞の語法の誤解が多いということです。think という動詞は基本的に以下の形のいずれかで使います。
正:think about ~(第1文型)「~について考える」
正:think that S’ + V’(第3文型)「S’がV’だと思う」
正:think O (to be) C(第5文型)「OがCだと思う」
以下のような形では使えないことに注意してください。
誤:think O(第3文型)「Oだと思う」
よって、以下のような形もありえないのです。
誤:My wife thought him.
誤:The player whom my wife thought was best won the tournament.
The player ( ) my wife thought ↓ was best won the tournament.
上の問題を見たときに「↓」のところに何かが欠けているということは誰でも気付くと思います。しかし、そこに欠けているものは、think の目的語ではなく、was の主語であるということをよく理解してください。
「格」と「省略」について
絶対「主格」というわけではない
ここまでの話をすると、生徒の中にはたまに「じゃあ、I think とかを見つけたら主格を選んでおけばいいんですね」と言う人がいます。しかし、その考え方はオススメできません!
たしかに入試で出る連鎖関係詞節の問題では、欠けている関係代名詞はおそらくいつも主格です。しかしそれは、The player ( ) my wife thought was … という文で「目的語が欠けている」と勘違いする人があまりにも多いので、出題者が受験生を引っかけるために、主格が解答になる文を作っているだけなのです。普通の英語の文章では、目的格の関係代名詞が連鎖関係詞節を導いていることは普通にあります。例えば以下のような文です。
- A person whom I thought I was tolerating has become my closest friend.
(私が我慢していると思っていた人が一番の親友になった) - I have to tell you something which I thought I would never say.
(決して言うまいと思っていたことをあなたに言わなければならない)
上の2つの連鎖関係詞節を使った文では、関係代名詞は目的格です。変な先入観は持たず、あくまでも、I think などを消してみて、残りの文をよく見た上で、何が欠けているかを判断してください。
主格でも目的格になることがある!
さて、ここからの話はちょっとマニアックになるので、最低限のことが理解できれば良いという方は読み飛ばしても構いません。ここまでの話で、The player ( ) my wife thought was … の空所には whom ではなく who が入るということが理解できたと思いますが、なんと、ネイティブでも、ここに whom を入れたくなる人がいるのです。つまり
The player whom my wife thought was the best won the tournament.
という表現は、本来誤用ですが、目にする機会があります。
言語の常として、たとえ誤用でも、使う人が多くなれば、それが正しい表現として許容されていきます。もしかしたらそのうち、このような連鎖関係詞節の文法問題は出題されなくなるかもしれません。
主格でも省略されることがある!
このように、連鎖関係詞節では、ネイティブでも、主格を目的格と勘違いすることがあります。おそらくそれと同じ理由で、なんと、連鎖関係詞節では、主格でも関係詞が省略されることがあるのです。つまり
The player my wife thought was the best won the tournament.
という文がありうるのです。実際、北里大で以下のような文法問題が出題されたことがあります。
The fossil ( ) from an unknown dinosaur turned out to be a complete fake.
① was thought to be ② which they thought to
③ they thought was ④ what they thought it to
⑤ was which they thought
正解③
関係詞を省略しない本来の文は以下です。
The fossil which they thought was from an unknown dinosaur turned out to be a complete fake.
(彼らが未知の恐竜だと考えた化石は、完全な偽物であることが分かった)
このような問題が出題される頻度は高くはありませんが、長文の中の一節としては普通に出てきます。このことを知らないと、「文構造はどうなっているんだ?」と悩んでしまうかもしれません。気を付けてください。
まとめ/暗記ポイント
- 関係詞の空所補充問題では、 などの「 を目的語にとる動詞」に注意する
- 上のような表現を見つけたらどうする?
練習問題
1. 次の英文のカッコ内に入れるのに最も適当なものを選びなさい。
- Tho position was filled by a man ( ) she thought was thoroughly competent.
① of which ② who ③ whose ④ whom - A friend of mine ( ) I supposed would pass the examination has failed.
① who ② whom ③ of whom ④ as - Are you doing what ( ).
① you think you are right ② you think it is right
③ you think is right ④ it is you think right - We will elect ( ) we believe is trustworthy.
① whoever ② however ③ those who ④ of whom
2. 次の英文のカッコ内の語を並べ替えて、正しい英文を作りなさい。
- 私の先生だと思っていた男性は、見知らぬ人だと分かった。
The man ( I thought / turned out / my teacher / to be / who / was ) a stranger. - 明日、とても素敵だと思っている女の子とデートをするんだ
Tomorrow, I will have a date ( a / believe / girl / I / is / very / who / with ) sweet.
3. 次の英文の下線部で誤りのある箇所を選びなさい。
- She is a promising swimmer whom we think will win a gold medal at the next Olympic Games.
4. 次の文章の下線部を下のように日本語に直すとき、空所(ア)(イ)に入れるべき必要な語句を記せ。(2020 中央・文)
- One who breaks an unjust law must do so openly, lovingly, and with a willingness to accept the penalty. I submit that an individual who breaks a law that conscience tells him is unjust is in reality expressing the highest respect for law.
(ア) を破るひとは、実際には (イ) のである。