多くの受験生が混同する be used to doing と used to do。今回はこの二つの覚え方や区別の方法について解説します。
be used to doing「~することに慣れている」
本格的な説明に入る前に、まずは use の語源について説明しましょう。オンライン語源辞典 Online Etymology Dictionary によると、use の語源となるラテン語には「利用する」の意味の他に「frequent」の意味があったことが分かっています。つまり use には「頻繁にする」「頻繁に使う」というニュアンスが含まれていることが伺えます。このことは、use に「消費する(consume)」の意味もあることを考えても納得がいく話です(「頻繁に使う」と「消費される」から)。
そこで be used to doing(~することに慣れている)の説明です。こちらは be used が受動態「使われている」という形になっているということに注目してください。つまり「頻繁に使われている」ということです。例えば、自分が誰かに頻繁にこき使われて何かをさせられるという状況を想像してください。頻繁に使われて何かをさせられたら、させられるそのことには慣れますよね。だから be used は「慣れている」なのです。元々が「使われている」という受動態だから be + p.p. の形だということを理解してください。
では今度は be used の後ろを考えてみましょう。例えば、誰かが「俺、慣れてるぜ」と言ったらどう思いますか?「はぁ?何に?」と突っ込みますよね。つまり「慣れている」という言葉は、「何々」+「に(対して)」と一緒に使われるはずなのです。例えば
「この生活に慣れている」
「寒さに慣れている」
「貧乏に慣れている」
等々、全て「名詞」+「に」と一緒に使われていますね。つまり、be used to doing の「to」は前置詞で、「doing」は名詞の代わりだから「動名詞」が使われているのです。
多くの参考書等では
「be used to doing」 (~することに慣れている)があたかも固定パターンかのように説明されていますが、実際、
「be used to 名詞」(~に慣れている) も普通に使われます。
以下の二つの文を見比べてみてください。ほとんど同じ意味ですよね。
I am used to living in Tokyo.(私は東京で暮らすことに慣れている)※動名詞
I am used to the life in Tokyo.(私は東京での生活に慣れている)※名詞
この2つの例文を覚えておけば、to が前置詞で、その後ろには名詞[≒ 動名詞]が来るということを忘れないと思います。
get used to doing「~することに慣れる」
be used to doing について理解したところで、その be が get に変わった get used to doing についてもおさえておきましょう。
そもそも be動詞とは「状態(~である)」を表します。よって be used to doing は「~することに慣れている」という「状態」を表します。
以下の例文を眺めて、「状態」のニュアンスをつかんでください。
I was angry.(私は怒っていた)
I was married.(私は結婚していた)
I was used to living alone.(私は一人で暮らすことに慣れていた)
一方、get は、get + 形容詞 という形で使われたとき、「~になる」という「変化」の意味を表します(become と同じ)。よって get used to doing は「~することに慣れる」(慣れていない状態から慣れた状態に変わる)という意味になります。
以下の例文を眺めて、「変化」のニュアンスをつかんでください。
I got angry.(私は怒った)
I got married.(私は結婚した)
I got used to living alone.(私は一人で暮らすことに慣れた)
used to do「かつて~した」
では次に used to(かつて~した)について説明します。現代英語では used to はセットで助動詞という扱いですが、これを動詞 use の過去形「used」+不定詞「to do(~すること)」と分解して考えてみてください。冒頭で、動詞の use には「頻繁にする」というニュアンスがあると説明しましたね。ということは、used to do は「~することを頻繁にした」という意味になります。だから「かつて~した」という過去の習慣を表すのです。「used」は動詞の過去形(且つ能動)ですから、その前にbe 動詞がつくはずはないですし、「to do」は不定詞ですから、to doing などと間違えることもないですね。
ちなみに used to do の疑問文・否定文は、一般的にはそれぞれ以下のように言います。
Did he use to (do …)?[疑問文]
He didn’t use to (do …)[否定文]
この形を見ても、use が元々は動詞だったということがよく分かるのではないでしょうか。
現在との対比の文脈で使われることが多い
ちなみに、used to do には「過去はしたが今はしない」という含みがあります(これは would do との違いでもあります)。よって but now ~(しかし今は~)などを伴う以下のような例文で使われることが多いです。
I used to hate exercise, but now I love it.
(私は昔は運動が大嫌いだったが、今は大好きだ)
もちろんこのような語句が必ずあるとは限りませんが、もしあったら、used to do と判断するヒントになるでしょう。
まとめ/暗記ポイント
いかがでしたでしょうか。be used to doing と used to do は、成り立ちにしっかり理由があります。やみくもに暗記しようとすると混乱してしまいますが、成り立ちを理解してから暗記すれば忘れませんんね。以下の暗記ポイントを整理したら、練習問題にチャレンジして自分の理解を確認してみてください。
- どちらが正しい?その意味は?
S be used to ( do / doing ) - どちらが正しい?その意味は?
S used to ( do / doing ) - be used to doing と get used to doing の違いは?
練習問題
次の英文の( )内に当てはまるものを入れよ。
- I ( ) to live in this house when I was small.
① am used ② used ③ was using ④ have been used - I’m nervous. I’m not used ( ) to a large audience.
① to speaking ② to speak ③ in speaking ④ of speaking - She ( ) to church regularly, but now she never goes.
① was used to go ② used to go ③ used to going ④ is used to go - I don’t mind leaving at six o’clock: ( ) up early.
① I used to getting ② I was used to get
③ I’m used to get ④ I’m used to getting - I ( ) the food in the university cafeteria.
① used to eating ② am used to eat ③ am used to eating ④ would use to eat - He ( ) TV every night, but he doesn’t anymore.
① used to watching ② was used to watch ③ used to watch ④ was using to watching - I still haven’t ( ) nights.
① used to work ② gotten used to work ③ used to working ④ gotten used to working