覚えておきたいアクセント7つの法則(ルール)

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苦手にする人が多い「発音・アクセント」問題。しかし「アクセント」に関しては、さまざまな法則性があり、そのいくつかを覚えるだけでかなり選択肢を絞ることができます。今回は、数あるルールの中から、出題頻度、例外の少なさ、カバーする単語の数、覚えやすさなどを諸々考慮し、覚える価値のある7つのルールを厳選してご紹介します。ルールは、重要と思われる順番に並べました。余力に応じて、上から順に覚えていってください。

前提知識

ルールを説明する前に、まずアクセントについて、基本的ですが大事ことを説明しておきます。それは

  • アクセントは母音にある

ということです。例えば communicate という単語には、母音が4つある(communicate)ので、可能性として、アクセントはそのどこか(下線部)にあるということになります。ちなみに「母音」とは、発音した際に母音になる音です。例えば語尾にある e は、発音しないので母音とは呼びません

また、この記事の説明では「音節」という言葉がところどころに出てきますが、

  • 音節 = 母音の数

と考えてください。例えば、communicate は、上で述べた通り母音が4つあるので、「4音節の単語」です。また、音節で分けて表記すると、com-mu-ni-cate となります。

そして、「〇〇の直前」と言ったら、『〇〇』という目印から「左方向にさかのぼって1つ目に見つけた母音」のことだと考えてください。「〇〇の2つ前」だったら、「2つ目に見つけた母音」です。例えば、「sion の直前」と言ったら、possession の場合「e」ということになります。「ate の2つ前」と言ったら、communicate の 場合「u」ということになります。

ルール1. -ate の2つ前

ここからルールの紹介です。まず、-ate で終わる3音節以上の単語は、その2つ前の音節にアクセントがあります。とにかく頻出で、しかも基本的に例外がなく破壊力抜群のルールです。また、アクセントのルールはいくつかありますが、「〇〇の『直前に』アクセントがある」というものが多く、このような『2つ前』というルールは少なく、特徴的で覚えやすいというのもポイントです。「ルールなんていくつも覚えられない」という人も、このルールだけは絶対に覚えておいてください!

cón-cen-trate(concentrate:集中する)
éd-u-cate(educate:教育する)
an-tíc-i-pate(anticipate:予想する)
dél-i-cate(delicate:繊細な)
im-mé-di-ate(immediate:即座の)

また、-ite, –ute, –ude の語尾に関しても、-ate ルールの変形と考えることができます。

ín-fi-nite(infinite:無限の)
óp-po-site(opposite:反対の)
cón-sti-tute(constitute:構成する)
át-ti-tude(attitude:態度)

ただし、contribute などの -tribute 語尾は例外、もしくは別個のルールと考えられ –trib– にアクセントがあるので注意してください。

例外(-tribute は tríb にアクセント)

con-tríb-ute(contribute:貢献する)
dis-tríb-ute(distribute:分配する)
at-tríb-ute(attribute:~のせいにする)
※名詞「属性」のときは原則通り át-trib-ute

ルール2. 三味線語尾の直前

「三味線語尾」とは、シャン、ション、チャン、チョン、ジャン、ジョン、シャス、シャル、シャンス…等、楽器の三味線の音を口で表現する時にありそうな音のことです。スペルで言うと、-cian, -tion, -sian, -sion, -gion, -cious, -tious, -gious, -cial, -tience 等になります。これらの語尾で終わる語は、その直前の音節にアクセントがあります。このルールも例外がほとんどなく幅広い単語をカバーできるのでかなり強力です。

mu-sícian「シャン」(musician:音楽家)
com-pe-títion「ション」(competition:競争)
sug-gés-tion「チョン」(suggestion:提案)
de-císion「ジョン」(decision:決定)
de-lícious「シャス」(delicious:美味しい)
ad-van-tágeous「ジャス」(advantageous:有利な)
in-flu-én-tial「シャル」(influential:影響力のある)
cón-science「シャンス」(conscience:良心)

例外

tél-e-vi-sion(television:テレビ)

ルール3. -ic, -ics, -ical の直前

-ic, -ics, -ical で終わる語は、その直前の音節にアクセントがあります。
economic, economics, economical という三つの派生語を思い浮かべると分かりやすいでしょう。これらの単語はどれもアクセントの場所は同じです。幅広い単語をカバーできる強力なルールですが、いくつか例外がありますので注意してください。例外の中では特に politics が特に頻出です。

Pa-cíf-ic(Pacific:太平洋)
dem-o-cráic(democratic:民主主義の)
e-co-nóm-ics(economics:経済学)
math-e-mát-ics(mathematics:数学)
po-lít-i-cal(political:政治の)
me-chán-i-cal(mechanical:機械の)

主な例外

pól-i-ics(politics:政治学)
Ár-a-bic(Arabic:アラビア語)
Cáth-o-lic(Catholic:カトリック教会の)
rhét-o-ric(rhetoric:修辞法)
a-ríth-me-tic(arithmetic:算数)

ルール4. -ity, -ety の直前

-ity, -ety で終わる語は、その直前の音節にアクセントがあります。シンプルですが例外がない、ありがたいルールです。

e-lec-tríc-i-ty(electricity:電気)
op-por-tú-ni-ty(opportunity:機会)
u-ni-vér-si-ty(university:大学)
pe-cu-li-ár-i-ty(peculiarity:特異性)
so-cíe-ty(society:社会)
anx-íe-ty(anxiety:心配)「アンクイエティ」

ルール5. ee, oo と 伸ばす音 にはアクセント

ee, oo を含む語は、その ee, oo にアクセントがあります。このルールは、当てはまる単語はさほどありませんが、分かりやすく覚えやすいのが魅力です。ただし、committee という重要な例外がありますので注意してください。coffee も例外ですが、大学入試ではあまり出題されません。

guar-an-tée(guarantee:保証(する))
ca-réer(career:経歴)
en-gi-néer(engineer:技術者)
bam-bóo(bamboo:竹)
bal-lóon(baloon:気球)

また、スペルを問わず、「イー」「ウー」などと伸ばす音にはアクセントがあることが多いということも言えます。厳密に言うと、上の ee, oo に関しては、伸ばすものと伸ばさないものがありますが、どちらも「伸ばす音」としてセットで覚えてしまって差し支えないでしょう。私の見解ですが、おそらく人間は、伸ばす音(長母音)を発音しようとする時には自然と力が入るものなのではないでしょうか。このルールはそれなりに例外もありますが、アクセントと発音を同時に覚えられるメリットがあるのと、発音問題としても頻出の重要単語が多いのが魅力です。

po-líce(police:警察)「ポリス」
ma-chíne(machine:機械)「マシン」
tech-níque(technique:技術)「テクニク」
pro-cé-dure(procedure:手順)「プロスィジャ」
in-tro-dúce(introduce:紹介する)「イントロデュス」
en-thú-si-asm(enthusiasm:熱狂)「エンシュジアズム」

尚、technique に関しては、-esque, ique, -igue 等で終わるフランス語由来の単語は、その語尾にアクセントというルールで説明されることも多いです(他に unique「ユニク」, antique「アンティク」, fatigue「ファティグ」など)。

主な例外

「ee, oo にアクセント」の例外
com-mít-tee(committee:委員会)
cóf-fee(coffee:コーヒー)

「伸ばす音にはアクセント」の例外
con-tín-ue(continue:続く)「コンテニュー」
vól-ume(volume:容積)「ヴリューム」
éx-e-cute(execute:実行する)「クスィキュート」※-ate(ute) ルールが優先

ルール6. 長い単語は後ろから3音節目にアクセント

長い単語(3音節以上の単語)は、なぜか後ろから数えて3音節目にアクセントがあるものが多いという特徴があります。正直なところ、これはルールというよりも単に統計的な「傾向」ではありますが、当てはまる頻出単語がメチャメチャ多いので、知っておく価値があります。全面的な信頼は禁物ですが、悩んだらこれを考えてみてください。以下はいずれも超頻出語です。

át-mos-phere (atmosphere:雰囲気)
cál-en-dar (calendar:カレンダー)
chár-ac-ter (character:性格)
de-móc-ra-cy (democracy:民主主義)
ín-stru-ment(instrument:道具、楽器)
ín-ter-est (interest:興味、利益)
ín-ter-net(Internet:インターネット)
ór-ches-tra(orchestra:オーケストラ)
par-tíc-u-lar(particular:特定の)
rél-a-tive(relative:親戚、関係のある)
sig-níf-i-cant(significant:重要な)

主な例外

長い単語なのに後ろから3音節目以外にアクセントがある頻出語
ág-ri-cul-ture(agriculture:農業)
ap-pár-ent (apparent:明白な)
de-vél-op (develop:発展させる)
en-ter-táin (entertain:楽しませる)
in-tér-pret (interpret:解釈する)
mu-sé-um(museum:博物館、美術館)
néc-es-sar-y (necessary:必要な)

ルール7. 名形前・動後(めいけいぜん・どうご)

同じスペル2音節の単語で、名詞・形容詞の場合は、原則として前の音節にアクセントがあり、動詞の場合は後の音節にアクセントがあるという法則があります。残念ながら例外も多いですが、まずはこのことを原則として覚えてください。

export
[ékspɔːrt]
[ikspɔ́ːrt]
【名】輸出
【動】輸出する
desert
[dézərt]
[dizə́ːrt]
【名】砂漠
【動】見捨てる
suspect
[sʌ́spekt ]
[səspékt]
【名】容疑者
【動】疑う
absent
[ǽbsənt]
[æbsént]
【形】不在の
【動】欠席する

また、本来このルールは、「スペルが同じで品詞が変わる単語」に適用されるものなのですが、実は、2音節の単語全般について、名形前・動後の傾向があります。このことも覚えておいて損はありません。

「名形前・動後」の原則通りの2音節語の例

例外(品詞が違ってもアクセントの位置が変わらない)

以下は、品詞が違ってもアクセントの位置が変わらない、名形前・動後の例外単語です。実際のところ、入試では品詞を区別した発音問題は出しにくい(問題を作るのが面倒くさい)という事情があるので、こちらの例外の方がむしろ多く出題されます。是非しっかり覚えてください。

また、スペルと発音自体が違いますが、adviceadvise も、品詞が違ってもアクセントの位置が変わらない頻出語ですので、関連させて覚えてしまいましょう。

また、以下はスペルに関係なく、名形前・動後の例外の頻出語の一部です。

名詞なのに後ろにアクセント

形容詞なのに後ろにアクセント

動詞なのに前にアクセント

尚、以下の記事で、ここでは紹介していないものも含め、アクセント問題頻出の単語を問題形式で紹介しています。是非チャレンジしてみてください。
【関連記事】アクセント頻出語(頻出問題)ベスト100

発音問題の対策には以下の記事を参照してください。
【関連記事】覚えておきたい発音問題9つの法則(ルール・解き方・コツ・見分け方)
【関連記事】発音記号の一覧と読み方・覚え方の解説(音声付き)

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