「英語が苦手」「英文法が苦手」という方に共通して言えることが、「品詞の働きをよく理解していない」ということです。
まずは「名詞」「形容詞」「副詞」の3つの品詞の働きの違いをしっかり理解しましょう。最初のうちは、このことがどう英語力に生きるかピンと来ないかもしれませんが、とにかくこのことを頭に叩き込んでください。英文法の理解は全てはここから始まります。
名詞の働き
名詞の働きは以下の3つです。
- 主語(S)になる
- 目的語(O)になる
- 補語(C)になる
具体的に見ていきましょう。例えば「Tom」という固有名詞が、英語の文の中でどんな働きをするか考えてみます。
- Tom is a boy.(トムは少年だ)【主語】
- I like Tom.(私はトムを好きだ)【目的語】
- He is Tom.(彼はトムだ)【補語】
「主語」という言葉は日本語としても馴染みがあると思います。文頭にあって「~は」「~が」と訳す言葉です。
「目的語」という言葉はちょっと分かりにくいかもしれません。とりあえず、一般動詞の後ろにあって「~を」と訳す言葉だと考えておいてください。
さらに分かりにくいのが「補語」です。これはとりあえず、be動詞の後ろに来ることができる言葉と考えておいてください。
形容詞の働き
形容詞の働きは以下の2つです。
- 名詞を修飾する
- 補語(C)になる
具体的に見ていきましょう。例えば「pretty(可愛い)」という形容詞が、英語の文の中でどんな働きをするか考えてみます。
- Mary is a pretty girl.(メアリーは可愛い女の子だ)【名詞を修飾】
- Mary is pretty. (メアリーは可愛い)【補語】
形容詞が「名詞を修飾する」のは、日本語も同じなので分かりやすいでしょう。形容詞は通常、名詞の前に置かれ、直後にある名詞を説明します。また、名詞と共に使われるので、数えられる名詞であれば、「a pretty girl」のように冠詞(a/an)を伴います。
また、形容詞は名詞と同様に「補語」になる(be動詞の後ろに来る)こともできます。この使い方の場合、後ろに名詞は来ません。
副詞の働き
副詞の働きは以下の一つだけです。
- 名詞以外を修飾する
形容詞としっかり区別しましょう。
「形容詞は名詞を修飾する」
「副詞は名詞以外を修飾する」
です。
また、形容詞と違い「副詞は補語にはならない」ということも押さえておいてください。
では、「名詞以外」とは具体的にどんなものがあるかを考えてみます。副詞が修飾できるものは、以下の4つと考えてください。
- Mary runs fast.(メアリーは速く走る)【動詞を修飾】
- Mary is very pretty.(メアリーはとても背が高い)【形容詞を修飾】
- Mary runs very fast.(メアリーはとても速く走る)【副詞を修飾】
- Maybe, Mary is right(たぶんメアリーは正しい)【文全体を修飾】
1番目の例文「Mary runs fast.」を、(△)「メアリーは走るのが速い」と訳す人がいますが、あまりおすすめできません。
この文は、修飾語「fast」を取っ払った元の状態では「Mary runs.(メアリーは走る)」です。では「fast」が修飾しているものは何か?動詞の「runs(走る)」ですよね。それなら、「メアリーは速く走る」と訳したほうが、「fast」が「runs」を修飾していることがよく分かる副詞らしい訳になります。
2番目、3番目の例文「very」という単語は、後ろにある形容詞や副詞を強調する言葉です。
「Mary runs very fast.」の場合、「very」も「fast」も副詞で、「very」は「fast」を、「fast」は「runs」をそれぞれ修飾しています。
また、4番目の例文「Maybe, Mary is right.」のように、副詞には文全体を修飾する用法もあります。この使い方の場合、通常「Maybe, ~」のようにカンマで区切られるのが目印になります。
副詞は文の要素にならない
もう一つ、副詞には大事なポイントがあります。それは「副詞は文の要素にならない」ということです。「文の要素」とは、英語の文を構成するパーツのことで、具体的には
- 主語(S)
- 動詞(V)
- 目的語(O)
- 補語(C)
の4つと考えてください。上の4つの例文では、「fast」「very」「maybe」という副詞は「S」「V」「O」「C」のどれにもなっていない、つまり文の要素になっていないことが分かると思います。言い換えると、副詞は、なくても文が成立するのです。
それに対して、名詞(「S」「O」「C」)は、ないと文が成立しません。例えば主語が欠けている「is Tom.」や、目的語が欠けている「I like.」などという文を想像してみてください。不完全で変ですよね。これは副詞と名詞の重要な違いです。
まとめ/暗記ポイント
- 名詞の働き
- 主語(S)になる
- 目的語(O)になる
- 補語(C)になる
- 形容詞の働き
- 名詞を修飾する
- 補語(C)になる
- 副詞の働き
- 名詞以外(動詞、形容詞、副詞、文全体)を修飾する
★文の要素にならない = なくても文が成立する
- 名詞以外(動詞、形容詞、副詞、文全体)を修飾する
繰り返しになりますが、このことはこれから英文法を学んでいく上で、全ての基礎になります。英文法が分からなくなったら、ここに立ち返ってみてください。
確認テスト
- 名詞の働き
- ( )になる
- ( )になる
- ( )になる
- 形容詞の働き
- ( )を修飾する
- ( )になる
- 副詞の働き
- ( )を修飾する
★文の要素に(なる/ならない)
- ( )を修飾する
解答は上の「まとめ」を見てください。