例題
正しい英文になるように、現在分詞・過去分詞のいずれかを選べ
- They seemed (surprising / surprised) to see me return so quickly.
- He is very (interesting / interested) and nice to talk with. I love him.
- The final game made me so (exciting / excited) that I could not remain seated.
解答・解説
感情動詞の意味⇒「~させる」
苦手にする人が多い、感情動詞(surprise, interest, excite 等)の現在分詞・過去分詞の使い分けに関する問題です。
例えば、以下のような問題があったら、悩む人はいないでしょう。
- He is (making /
made) the document. - The document is (
making/ made) by him.
なぜ悩まないかというと、この場合「彼はその書類を作っている[⇒作る]」(能動)、「その書類は彼によって作られる」(受動)という、能動・受動の関係を見抜いているからです。「能動(~する)だったら現在分詞」「受動(~される)だったら過去分詞」ということは、誰しも直感的に理解しているはずです。
ではなぜ感情動詞の場合は悩んでしまうのでしょうか?それは、そもそもその動詞の意味をよく理解していないからです。
例えば surprise という動詞の意味は何でしょうか?この動詞の意味を「驚く」だと思っていた人はいませんか?正しくは「(~を)驚かせる」という意味の他動詞です。同様に excite は「ワクワクする」ではなく「ワクワクさせる」です。please は「喜ぶ」ではなく「喜ばせる」です。
このように、英語では、感情に関係する動詞(感情動詞)の意味は、ほとんどが「~する」ではなく「~せる/~させる」なのです。まずはこのことをしっかり覚えてください。
現在分詞⇒「させるような」、過去分詞⇒「させられた」
例えば surprise について言えば、現在分詞の surprising と、過去分詞の surprised という形があります。そもそも分詞には形容詞的性質がありますが、こういった感情動詞の分詞は、その形容詞的性質がさらに強くなり、ある名詞の性質や状態を表す「分詞形容詞」になります。辞書には「形容詞」として載っています。
すでに述べたように、surprise は、動詞本来の意味が「驚かせる」です。これに ing がついて現在分詞の surprising という形になっても、意味の方向性は変わりません。よって、本来の能動の意味を保ったまま、「(人を)驚かせるような(性質を持った)」という意味になります。これを意訳して「驚くべき」などと訳すこともありますが、大事なことは、これは「驚かせる」側だということです。
一方、過去分詞の surprised になると立場が逆転します。過去分詞は受動を表しますので、こちらは「驚かされた(状態)」という意味になります。そして「驚かされた」人は、結局のところ「驚いている」状態なので、自然な日本語としては普通「驚いている」「驚いた」などと訳します。しかし、これは「驚かされる」側だということをよく意識してください。
面白いのは、「驚いている」「驚いた」と言う言葉は、日本語では能動的な表現ですが、英語ではこれを「驚かされた」という受動で表現するということです。英語では、感情の変化は、自分の中で勝手に起こるものではなく、他者に影響されて生じるものと考えるわけですね。
まとめると、代表的な感情動詞と、それぞれの現在分詞、過去分詞の意味は以下のようになります。
- surprise(驚かせる)
- ⇒ surprising(驚かせるような ⇒ 驚くべき)
- ⇒ surprised (驚かされた ⇒ 驚いている)
- excite(ワクワクさせる)
- ⇒ surprising(ワクワクさせるような ⇒ ワクワクする、面白い)
- ⇒ surprised (ワクワクさせられた ⇒ ワクワクしている)
- interest(興味を起こさせる)
- ⇒ interesting(興味を起こさせるような ⇒ 興味深い、面白い)
- ⇒ interested (興味を起こさせられた ⇒ 興味を持っている)
- please(喜ばせる)
- ⇒ pleasing(喜ばせるような ⇒ 楽しい、感じのよい)
- ⇒ pleased (喜ばされた ⇒ 喜んでいる、嬉しい)
- disappoint(失望させる)
- ⇒ disappointing(失望させるような ⇒ 期待外れの、残念な)
- ⇒ disappointed (失望させられた ⇒ がっかりした)
- bore(退屈させる)
- ⇒ boring(退屈させるような ⇒ 退屈な、つまらない)
- ⇒ bored (退屈させられた ⇒ 退屈した、うんざりした)
繰り返しますが、それが「させる」側なのか、「させられる」側なのかということによく注意してください。
例題1 解説
では例題1の解説です。
- They seemed (
surprising/ surprised) to see me return so quickly.
(彼らは私がそんなに早く帰ってくるのを見て驚いたように見えた)
分詞形容詞の問題を解くには、五文型の知識が役立つことが多いです。seem は第二文型を作る動詞で、第二文型では、主語(S)と補語(C)の間に、主語・述語の関係が成り立ちます。つまり主語である they に注目し、それが「驚かせる側」なのか「驚かされる側」なのかを考える必要があります。
その後を読むと、to see me return so quickly(私がそんなに早く帰ってくるのを見て)という内容から、この they は「彼ら=人」だと分かります。人は「私がそんなに早く帰ってくるのを見ること」によって、驚かされる側ですので、過去分詞の surprised を選びます。
例題2 解説
例題2 の解説です。
- He is very (interesting /
interested) and nice to talk with. I love him.
(彼はとても面白くて、話して楽しい。私は彼のことが大好きだ)
例題1 で「人は驚かされる側だから過去分詞」と言いました。しかし、だからと言って「主語が人だったら現在分詞」「主語が物だったら過去分詞」だと決めてかかってはいけません。実際、そのように説明している英語講師や参考書は多く、また結果としてそうなることはたしかに多いのですが、これは全くオススメできない考え方です。現在分詞になるか過去分詞になるかは、あくまでも、その文の中で主体となるものが「させる側」なのか「させられる側」なのかを、文脈を踏まえて判断してください。
この文で「interesting / interested」は「nice to talk with(話すのに良い ⇒ 話して楽しい)」と and で並列されています。つまり、この文は「彼がどんな人か」という、「彼」の性質を説明していることが分かるでしょう。その後にも I love him. とあり、彼がそのような性質だから私は彼のことが好き、と読めるので、その解釈が正しいことを裏付けます。そう考えると、「彼」は人に興味を起こさせる側の「面白い」人と考えるのが自然ですので、現在分詞の interesting を選びます。過去分詞の interested では「彼は興味を起こさせられている(⇒ 何かに興味を持っている)」となり、文脈的に意味不明です。意地悪な問題と感じた人もいるかもしれませんが、現在分詞・過去分詞の正しい理解が問われる良い問題だと思います。
例題3 解説
例題3 の解説です。
- The final game made me so (
exciting/ excited) that I could not remain seated.
(最後の試合で私はとても興奮したので、席に座ってはいられなかった)
まずこの文が make O C(O を C にする)という第五文型であることを見抜きます。第五文型では、目的語(O)と補語(C)の間に、主語・述語の関係が成り立つので、me(私)は「興奮させる側」なのか「興奮させられる側」なのかを考えます。
その後を読むと、I could not remain seated(席に座ったままでいられなかった)という内容から、「私」は非常に興奮していることが分かります。つまり「興奮させられる側」なので、過去分詞の excited を選びます。この問題も、単純に主語が人か物かだけに気を取られていると間違える問題です。
まとめ/暗記ポイント
- surprise の意味は「驚く」「驚かせる」どっち?
- 感情動詞の現在分詞の意味は?
- 感情動詞の過去分詞の意味は?
- 感情動詞の現在分詞・過去分詞の区別を問う問題では…
- 第二文型では、 と の間に主語・述語の関係がある
- 第五文型では、 と の間に主語・述語の関係がある
以下の記事では、現在分詞と過去分詞の使い分けの練習問題をご紹介しています。今回は触れていない分詞の形容詞的用法も含め、感情動詞以外のさまざまな分詞の問題が含まれています。是非チャレンジしてみてください。
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