名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
2行目:essential
the first essential is the realization that ~
【和訳】まず第一に重要なことは、~であることに気づくことだ
essential に名詞の用法があることに注意。ここでは単数形ですが、通例は複数形(essentials)で「不可欠なもの」「要点」などの意味を表します。
8行目:look to ~ (for …)
looking to others for help
【和訳】助けを求めて他人を頼り
look to ~ は「~を頼って」という重要熟語ですが、知らない受験生が多いです。文字通りには「~の方に目を向ける」という意味ですが、物欲しそうに誰かの方をじーっと見ている人は、その人を頼っているということになりますね。
11行目:akin to ~
responsibility much akin to the fear of failure
【和訳】失敗を恐れることによく似た責任
難しい単語ですが、早慶レベルの方には覚えてほしい単語です。この単語は kind(種類)と同じ語源で、
「~と同じ種類」⇒「~に似ている」
という意味を表します。
また、kin(親族、同類の人・物)という単語も同語源ですので、セットで覚えてしまいましょう。
18行目:responsible
Perhaps a lack of goals is largely responsible.
【和訳】おそらく、目標の欠如が原因である。
responsible は「責任がある」という意味が有名ですが、ここでは「原因である」という意味。11行目や13行目に出てくる responsibility とは意味が異なるのでちょっと紛らわしいです。
[原因] be responsible for [結果]
であることに注意してください。ここでは for 以下が省略されていますが、for that くらいを補って考えてみましょう。that が指しているものは前文の内容で「人々が不幸せで、人生に意味を見出せないこと」です。
Perhaps a lack of goals is largely responsible for that.
【和訳】おそらく、目標の欠如がその[=人々が不幸せで、人生に意味を見出せないことの]原因である。
21行目:tap
they fail to tap the potential power of their abilities
【和訳】彼らは自分の潜在能力を引き出すことができない
tap は必修単語ですが、このような一見易しい単語の意味は意外と覚えにくいものです。
tap の名詞の意味は「(水道の)蛇口」です(ちなみにこれはイギリス英語で、アメリカ英語では faucet と言います)。まずこの tap という意味を覚えましょう。もう一つちなみに、日本語で「電源タップ」「テーブルタップ」という言葉がありますが、これは、壁のコンセントから、離れた場所に電源を供給する器具(電源コード)のことで、電気を水に見立てた表現です。ただしこれは和製英語で、正しい英語では power strip と言います。
さて、水道管の中には水がたっぷり詰まっていますが、蛇口がないと我々は水を使うことができません。蛇口のおかげで、われわれは水を「引き出す」「使う」ことができますね。これが tap の動詞の意味です。
27行目:be elected to [名詞]
being elected (by your fellow human beings) to some station in life
【和訳】あなたの仲間の人間によって、ある社会的な地位に選ばれること
elect は、以下の形で第五文型(またはそれに準ずる形)を作り、「O を C として[に]選ぶ」という意味を表します。
- elect O (to be) C
- elect O as C
- elect O to C[名詞]
elect O to C[名詞] の形は一番馴染みがないと思うので、注意してください。
また、station in life は一種のイディオム的表現で、「社会的地位」という訳が一般的。station には「身分、地位」という意味があります。
29行目:still
Happiness can be helping someone ― a friend or, better still, someone you don’t know
【和訳】幸せとは誰かを ― 友人や、さらに良いのは、あなたの知らない誰かを助けることだ
still は比較級を強調して「さらに、いっそう」という意味を表します。比較級を強調する副詞は他に much, a lot, far, even などがありますが、still は前からも後ろからも比較級を強調できるという点で特徴的です。
設問
問4
まず、remind は、以下の3種類の語法が可能であることを押さえておきましょう。
- remind O to do
- remind A of B
- remind that SV
ただし、この設問の選択肢はいずれも remind that SV (選択肢2 は that の省略)の形をとっているので、この問題の決め手は語法ではありません。
ここで注目するべきことは、選択肢1,2 で such と that がそれぞれ代名詞として使われ、tried の目的語になっているということ。この文脈では such と that が特に指しているものはなく、「一般的な物事を試みて失敗する」ということなので、選択肢1,2は不適当です。また、直後に not to have tried is disaster という、目的語がない tried があることもヒントになるでしょう。
問5
accompany は注意すべき動詞です。別冊の解説にもある通り、意味は「~に伴う」ですが、大事なことは主従関係です。
[従] accompany [主].
であることに注意してください。以下のような例文を見ると分かりやすいでしょう。
French fries often accompany steak.
(フレンチフライはしばしばステーキについてくる)
【フレンチフライ=従】【ステーキ=主】
そのことだけ分かれば、あとは 24-25行目にある true happiness occur upon the achievement of some goal など、文脈をヒントに正解を選ぶことはできると思います。
また、もう一つこの問題を解きやすくする知識として、英語の文章は、
旧情報 ⇒ 新情報
の繰り返しで紡がれていくということを是非覚えておいてください。
この文章は、22行目からの段落で「幸せ(happiness)とは?」について述べています。そして、32行目からの段落で「達成(achievement)とは?」について述べています。
Happinesscan be ・・・・. Happiness is doing.【旧情報】
Happiness accompanies achievement.【旧情報 ⇒ 新情報】
Achievement is ・・・.【新情報】
問5 の空所はちょうど 旧情報である happiness と 新情報である achievement の話の境目になっており、ここで主語に happiness 、目的語 に achievement を持ってくるのは、文章の構成的にも自然なのです。
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