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基礎英語長文問題精講

基礎英語長文問題精講 問題32 解説

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名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。

本文

21行目:ill-bred

bred は、breed(産む、繁殖させる、育てる)の過去分詞。ill-bred は「悪く育てられた」という直訳から、「しつけの悪い、不作法な」という意味になります。

30行目:CVS 倒置

(Closely) related (to English reserve) is English modesty.
【和訳】イギリス人の遠慮深さと密接な関係があるのが、イギリス人の謙遜である。

倒置にもいろいろありますが、このタイプの倒置(本書P32の解説の C )を、私は「CVS 倒置」と呼んでいます。本書の解説では、前に置かれる要素は「分詞」だけが言及されていますが、「形容詞」も可能です。

  1. Sitting (on the bench) was Mary .
    (ベンチに座っていたのはメアリーだった)
  2. More important is the fact that ~.
    (さらに重要なのは、~という事実だ)
  3. Lucky are the children who managed to leave the country.
    (なんとか出国できた子供たちは幸せだ)

ちなみに、1 の例文(Sitting ~.)は、五文型的分類では、Sitting は 本来 was sitting という 動詞の一部ですが、分詞には形容詞的な性質があるので、ここでは補語とみなしています。例えば本文の related なども過去分詞が形容詞化したものです。

大事なことは、どのようなときに CVS 倒置が起きるのかということですが、大まかに以下の二つが考えられます。

  • 主語が新情報のとき
  • 補語を強調したいとき

旧情報・新情報の話は奥が深いので、ここでは簡単な説明にとどめますが、言語を問わず、文は「旧情報⇒新情報」の順に情報を並べたほうが、読み手(聞き手)が、新情報を受け入れる心の準備ができるので、理解しやすくなります。上の例文の 1 と 2 はこれに当たります。また、この場合は、訳すときも主語を後ろに持ってきたほうが自然な日本語になります

Closely related to English reserve is English modesty.
◎ イギリス人の遠慮深さと密接な関係があるのが、イギリス人の謙遜である。
イギリス人の謙遜は、イギリス人の遠慮深さと密接な関係がある

また、補語を強調したいときにこの倒置が生まれることもあります。文脈が分からないので若干微妙ですが、例文の 3 はおそらくこちらでしょう。

さて、今回の本文はどちらでしょうか?English reserve(イングランド人の遠慮深さ)の話は文章の冒頭で既に出ていますが、それが modesty(謙遜) に関係があるという筆者の見解はここで初めて出てくるものです。これは、主語が新情報のために生じている倒置と考えるべきでしょう。

31行目:no less ~ than …(くじら構文)

the English are perhaps no less conceited than anybody else
【和訳(直訳)】イギリス人はおそらく他のいかなる人とも同じくらいうぬぼれが強い

いわゆる「くじら構文くじらの公式)」です。

  • A whale is no more a fish than a horse is.
    (くじらは馬同様にではない
  • A whale is no less a mammal than a horse is.
    (くじらは馬同様に哺乳類

ここでは簡単な説明にとどめますが、以下のことに注意して、肯定・否定を逆にとることのないよう注意してください。

  • A is no more ~ than B 「A は B 同様~ではない」(両方否定
  • A is no less ~ than B 「A は B 同様~だ」(両方肯定

設問

問4

succeeds for a time in breaking the barrier down(一時的にそのバリアを壊すことに成功する)とは具体的にどういうことかという問題。これは「『バリアとは何か?」がポイントです。

the barrier は、26行目に their barrier of reserve(控えめな態度というバリア)を指していますが、これは、22行目の the reluctance to communicate with others(他人と話をすることに乗り気でないこと)の言い換えと考えられます。さらに言うと、これは 3行目の does not talk very much to strangers の言い換えでもあり、第一段落では、イギリス人がいかに他人と話をしたがらないかという具体例がいろいろと紹介されています。まとめると、「バリア」とは「『話しかけるなオーラ」のようなものと考えると分かりやすいのではないでしょうか。

そんなイギリス人ですが、第二段落では、実は perfectly human(人間らしい)な一面もあり、a friendly stranger or foreigner がそのバリアを壊すと、may be quite pleased(嬉しい)と言っています。この話の流れから、「バリアを壊す」とは「イギリス人を会話に引き込む」ことだと理解できるのではないでしょうか。あるいは「イギリス人と会話する」くらいでも正解でよいと思います。「イギリス人に話しかける」とした人は惜しいですが、話しかけただけでは必ずしもバリアを壊すことに succeed するとは限らないので減点です。


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管理人

都内の某予備校で講師をしています。受験生の役に立つ情報をどんどん提供していきたいと考えていますので、「この文法が分からない」「こんなまとめが欲しい」など、ご意見・ご要望・ご質問等がありましたら、コメントを通じてお気軽にご連絡下さい。

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