名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
2行目:the peoples
But the peoples of the world have more points in which they are all like each other than points in which they are different.
【和訳】しかし、世界の国民は、お互いに異なっている点よりも、お互いに似ている点のほうが多い。
これを「人々」と訳さないこと。不定冠詞(a)がつく、または複数形になる people は「国民(民族)」と訳します。具体的には以下のパターンです。
- a people
- peoples
- the peoples
ちょっと難しいのは the people です。これも「国民」の意味になることがありますが、ごく普通の「人々」の意味が、形容詞(句・節)で説明されている、または文脈で限定されているために the がついている可能性もあるので、the people に関しては文脈で判断します。
- all the people(全ての人々)
- the people next door(となりの部屋の人たち)
- the people who have worked with him(彼と仕事をしたことのある人々)
8行目:than is necessary
doing more than is strictly necessary
【和訳】厳密に必要とされているよりも多くのことをする
than is ~ のつながりに違和感を感じた人はいないでしょうか?
比較で使う than や as(二つ目の)の品詞は本来接続詞です。接続詞の後には完全な S+V が来るのが原則ではありますが、比較の文では
- He is not as old as he looks □. [□ = old]
- He has more free time than I do. [□ = have free time]
のように、何かが欠けた形、または省略された形になるのが普通です。それと同じ理屈で、than is necessary も
- doing more than □ is strictly necessary [□ = much]
のように、主語が欠けた形になっていると考えればよいでしょう。
ちなみに、受験生はあまり堅苦しく考える必要はありませんが、このような than の使い方は、一種の関係代名詞(主格)とする説もあります。
- doing more <than is strictly necessary>
more が先行詞、than is strictly necessary が関係詞節というわけですね。いずれにしても、自分が理解しやすいように理解してくれればよいです。
もう一つちなみに、これを含めて「必要以上に」という表現には以下のようなものがあります。
- than is necessary [= than necessary]
- than is needed [= than needed]
英作文でも重宝する表現です。慣用表現として覚えてしまいましょう。
14行目:share talks of
The man who is always doing more than his share talks of ‘duties’:
【和訳(直訳)】彼の「義務」についての分担の議論よりもいつも多くのことをする人
分かりにくい表現です。動詞の share を使った share talks of ~(~についての話を共有する)という表現があるので、その share を名詞化して、「~についての共有(の)話」と表現しているのでしょう。分かりやすく言えば「『お前の分担だよ』と言われている分」ということだと思われます。
15行目:not society to the individual
he feels that the individual is in debt to society, and not society to the individual
【和訳】その人は、個人が社会に対して義務を負っているのであって、社会が個人に対して義務を負っているのではないと感じている
省略しない完全な文としては、
he feels that
[the individual is in debt to society],
and
[society is not in debt to the individual]
となります。
また、このように ,(カンマ)で区切られた後半が not で始まる文は、not A but B の言い換えだということを意識しましょう。つまり、A と B の対比ですので、内容把握の上で重要になります。
- not A but B(A ではなく B)
- = B, (and) not A(Bである。A ではなく)
今回の文を not A but B を使って書き換えると以下のようになります。
- he feels that the individual is in debt to society, and not society to the individual
- = he feels that society is not in debt to the individual but the individual is (in debt) to society
31行目:public-spirited
His public-spirited opposite is never too busy to take on an extra piece of work:
【和訳(直訳)】彼とは反対の公共心に富んだ人は、余計な仕事をするのに決して忙しすぎるということはない
~-spirited は「~の精神を持つ、気分が~の」という意味。他に
- free-spirited:自由な精神の
- generous-spirited:寛容な心の
- mean-spirited:意地悪な
などの例があります。
~-oriented「~志向の」とちょっと似ていますね。
- academic-oriented:学歴重視の
- customer-oriented:顧客本位の
- profit-oriented:利益志向の
設問
問E. 空所(ニ):at first ~ but(本文21行目)
(At) first, other people, such as his friends and his employer, generously acccept his stories; but soon they realize what kind of person he is.
【和訳】最初は、彼の友人や雇い主などの他の人は寛大に彼のことを受け入れるが、すぐに彼らは彼がどんな人間かを悟る。
at first が、「最初は~、しかし(後に)…」と、当初の状況が後に変わることを示唆している表現であることを押さえておきましょう。つまり、at first を見たら、そのちょっと後に but(however)が来ることを予想して読むことができるということです。
ここでは、23行目に but soon they realize ~ とあるので、その前にあるものは at first だろうと予想します。
【関連記事】at first の意味・使い方、firstlyとの違い
構文把握力や精読力をつけたい方にはこちらがオススメです。
最高レベルの英語力を身につけたい方はこちらもチャレンジしてみてください。