名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
8~9行目:way の副詞的用法
if the opportunity comes their way
【和訳】その機会が(自分たちの方に)やってきても
「方向、方角」という意味の名詞 way は、しばしば前置詞を省略して、副詞的に使われます。今回の例では、本来
if the opportunity comes (in) their way
のように、前置詞 in があるべきですが、それが省略されています。他には以下のような例があります。
- Please come this way.(こちらに来てください)
- He has come a long way.(彼ははるばるやってきた)
16行目:if anything
If anything, it tends to confirm one in bad habits of speaking which later become impossible to remove.
【和訳】むしろ、それ(会話)は、後で取り除くことができない悪い話し方の癖を人に植え付けてしまう傾向がある。
if anything は「むしろ」「どちらかと言えば」などと訳されますが、なぜこのような訳になるのか分かりにくい表現です。これは、
if there is anything to say[add]
(何か言う[言い足す]ことがあるとすれば)
などの省略表現と考えるとよいでしょう。
「(別に何も付け足さなくてもよのだけど)あえて何かコメントを付け足すとしたら」
⇒ 「あえて言うなら」「強いて言えば」
⇒「どちらかと言えば」「むしろ」
と考えると、理解しやすいと思います。
27行目:疑問詞 + is it that ~ ?
But why is it that Japanese students are so weak in English grammar?
【和訳】しかし、日本の学生がそんなに英文法に弱いのはなぜなのだろうか?
これは疑問詞 why が強調された形になっている強調構文です。
元々は
It is because ~ that Japanese students are so weak in English grammar.
(日本の学生がそんなに英文法に弱いのは~だからだ?
という強調構文で、この because ~ の部分が、疑問詞 why に置き換わり、
Why is it that Japanese students are so weak in English grammar?
となりました。
疑問詞を強調する強調構文は、強調構文であることに気づきにくいので、
疑問詞 + is it that ~ ? は強調構文
としっかり意識しておきましょう。
31行目:poor の解釈
The thought patterns in English are so different from those in Japanese, that it is almost impossible for poor Japanese students to succeed in mastering them.
【和訳】英語の思考パターンと日本語の思考パターンは非常に異なっているので、気の毒な[⇒気の毒なことに]日本の生徒が英語を習得するのはほとんど不可能だ。
poor にはもちろん「下手な」とか「出来の悪い」という意味があります。students とのつながりもあり、いかにもそう訳したくなるところですが、この文脈では適切ではありません。
筆者の主張は、「『英語の思考パターンと日本語の思考パターンは非常に異なる』という同情すべき理由があるから、日本の学生が英語を習得するのは難しい」ということなので(※次の文でも sympathize という表現が出てくる)、ここでは「気の毒な、可哀想な」という意味ととるべきでしょう。
この意味の poor は、話し手の心情を表しているので、「気の毒にも」や「気の毒なことに」などと副詞的に訳すのがおすすめです。
34行目:the other end
・・・having approached the problem from the other end ― as an Englishman trying to master Japanese.
【和訳】この問題に、反対側から、すなわち、日本語を習得しようとするイギリス人として取り組んできたので
ここでの end は「端、側」という意味。the other end は、 one end(一方の側)に対応する表現で、「もう一方の側、反対側」という意味になります。直後に言い換えのダッシュがあることも参考にし、何と何が両端にある(=対比されている)のか?と考え
- one end :英語を学ぼうとする日本人
- the other end:日本語を学ぼうとするイギリス人
と解釈します。
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