基礎英語長文問題精講 問題8 解説

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名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。

本文

12行目:instead of

instead of ~ は「~の代わりに」という訳で覚えている人が多いかと思いますが、どちらかと言うと「~しないで」という訳の方がおすすめです。本書の解説にもありますが、A instead of B は以下と同義です。

  •   A instead of B
  • A, not B
  • not B but A

これらはいずれも対比を表すディスコースマーカーで、B の方が重要ということを示しています。内容把握のカギになる表現の一つですので、注意して読んでください。
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27行目:不定詞の意味上の主語

for our minds to think clearly
【和訳】私たちの頭脳明晰に思考するためには

本書の解説にもある通り、この for ~ は不定詞の意味上の主語です。「for」を見ると何でもかんでも「~にとって」と訳そうとする受験生が多いですが、不定詞の意味上の主語は「~」と訳すことを強くおすすめします。以下の二つの for は文法的な働きが異なることを理解してください。

  1. It’s necessary for you. ※利益の対象
    (それはあなたにとって重要だ)
  2. It’s necessary for you to do that. ※不定詞の意味上の主語
    (◎あなたそれをすることは重要だ)
    (△あなたにとってそれをすることは重要だ)

1 の文の for は「~にとって」と訳して構いませんが、これは「利益の対象」を表す for で、別の訳をすれば「~のために」ということです。

一方、2 のように、不定詞の前にある for は「不定詞の意味上の主語」で、you と do の間に S-V 関係があることを表しています。主語ですので「~」と訳すべきなのです。

この 2 の文(不定詞の名詞的用法の場合)ではたまたま「~にとって」でも訳せてしまいますが、これはあくまでたまたまですので、あまりおすすめできません。形容詞的用法や副詞的用法の不定詞の前にある for+人 は「~が」でないと訳がおかしくなりますし、何より S-V 関係 を意識することは内容把握の上で重要になります。不定詞(to do)の前にある for は「~が」と訳す習慣をつけてください

内容把握:列挙

15行目の If we feel stressed, there are several things that we can do. First ~ 以降で「私たちがストレスに対処するためにできること」が4点列挙されていることを見抜いてください。

  1. First, we need to learn how to relax and breath slowly and smoothly.(16行目)
  2. We can also take some time out of our worried, busy
    schedule ~.(19行目)
  3. We need to take care of our bodies.(24行目)
  4. Finally, we need to find what is causing the stress in our lives.(32行目)

1点目と4点目の FirstFinally列挙のディスコースマーカーとして分かりやすいですが、2点目の also にも是非注目してください。地味な単語ですが、also は another, moreover, in addition 等と同様に、追加の列挙を示すディスコースマーカーとして非常に重要です。

また、厄介なのは3点目です。この文は
We need to ~.
となっていますが、内容的に列挙の続きですので、本来
We also need to ~.
とするべきです。本書の訳でも「私たちは自分の体に留意する必要ある」となっていることに注目してください。

このように必要なディスコースマーカーが欠けた文はあまり良い文ではありませんが、こういったこともしばしばありますので注意が必要です。こういった分かりにくい並列に気付くには、日頃から「英語のパラグラフには何らかの役割がある」というパラグラフリーディングの意識を持って英文を読むことが役立ちます。また、そのためにもディスコースマーカーが大きなヒントになります。
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