名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
5行目
the relativity of our values の解釈について
⇒ 設問・問2の解説を参照
7行目
In this way, we come to understand [that our way of looking at reality is not the only way], [that our way values may not be the only ones].
【和訳】「このようにして、われわれは自分たちの現実の見方が唯一のものではなく、自分たちの価値観が唯一のものではないかもしれないということを理解するようになる。」
カンマの解釈がちょっと気になります。この和訳では、2つのthat節が並列されている(カンマの後に and があるかのような)解釈になっています。そういうことも実際あるにはあるのですが、本来、並列が2つの場合の and は省略できません。
つまり、この場合のカンマは原則としては同格で、
「このようにして、われわれは自分たちの現実の見方が唯一のものではない、すなわち、自分たちの価値観が唯一のものではないかもしれないということを理解するようになる。」
と解釈すべきでしょう。
12行目
Speaking only one language can be compared to living in a room with no windows and no doors.
【和訳】一つの言語しか話せないことは、窓も戸口もない部屋に住んでいることに例えられる
本書の解説に「compare は『比較する』の意では(to を用いることもあるが)原則として with を用い、『たとえる』の意では to を用いる」とありますが、ちょっと誤解を招く表現です。正しくは
- 「比較する」の意味では「with を使うことが多いが、to も使うことができる」
- 「たとえる」の意味では「to を使うことが多いが、with も使うことができる」
と言うべきです。注意してください。
15行目
look out the windows
「窓から外を見る」
out は「~外を(へ)」という意味の前置詞で、out of と同じです。
17行目
thorough [θə́ːrou/θʌrə] を、前置詞の through と読み間違えないこと!
thoroughは「徹底的な、完璧な」という意味の形容詞。ちなみに「サラブレッド(thoroughbred)」とは、徹底的に(thorough)に品種改良された(bred=breedの過去分詞)という意味。
設問
問2
the relativity of our values「私たちの価値観の相対性(関連性)」は抽象的で分かりにくい表現ですが、その後の文 In this way … 「自分たちの価値観が唯一のものではないかもしれない」で具体化されていると考えます。つまり、ここで言う「相対性」とは、「私たちの価値観が絶対的でない(=相対的なものである)」くらいに考えるとよいでしょう。
よって選択肢4の「普遍的で完全な価値観はない」とほぼ同義で、これが正解となります。
問3
Be + S ~ の倒置は譲歩「たとえ~でも」を表します。
Be + S + A or B は Whether S be A be B と同義で「たとえAでもBでも」となります。
問9
- 「彼は若いが、偉大な学者だ」:形容詞/副詞+as+S+V の倒置構文による譲歩「~だけれども」
- 「彼は年をとるにつれて寡黙になった」:接続詞の as は、変化・移動(change, grow, go, become等)を表す動詞や、比較級を含む文の中で使われるときは、「~につれて」の比例の意味を表すことがほとんど
- 「学生並みから言えば、彼女はとてもよい」:as A go で「(Aの)一般的な基準と比較して」の意(go の慣用表現)
- 「お金があれば、あなたに借りているお金を返すのですが、返せません」:文頭の as it is は「ところが実際は」という意味で、逆接を表しています
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