名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
8行目-:Of course ~. However …(譲歩構文)
Of course, it is not enough to say ~.
However, the visible busyness craze is particularly absurd ….
【和訳】もちろん、~と言うことは十分ではない。しかしながら、そのような目に見える多忙の流行は馬鹿げている。なぜなら…
8行目の Of course と、11行目の However は、譲歩構文(もちろん~だ、しかし…)として相関していることに気づくこと。
9行目:have to be seen to be believed
you have to be seen to be believed
【和訳(直訳)】あなたが信じてもらうためには見られなくてはならない
【和訳(意訳)】あなたは人に見られなくては信じてもらえない
本書の解説にもある通り、これは
have to ~ to …(…するには~しなくてはならない)
という形の一種の構文です。to … は不定詞の副詞的用法で「条件」または「目的」を表します。
個人的には、あまりこれを特別な構文と捉えることには違和感がありますが、そんな方も
must[have to] be seen to be believed
という表現自体はしばしば見かけるので、一つの慣用表現として覚えてしまうことをおすすめします。構文として覚えてもよいという方は、この構文の代表的な例文として覚えるのがよいでしょう。
また、文脈的には、ダッシュの前の文
it is not enough to say you are rushed off your feet
(あなたがてんてこまいだと口で言うことは十分ではない)
と、
you have to be seen to be believed
は、「言う(say)」と「見られる(be seen)」が対比されています。「言う」だけでは不十分なので「見られる」必要があるということです。ダッシュによってその前後の文が言い換えられているということを意識してください。
10行目:after all
It is no good being frantically busy where no one can see you after all.
【和訳】というのも、誰も見ていないところで忙しくしていることは無駄だからだ。
after all という熟語は「結局」という意味で覚えている人が多いと思いますが、実はその意味で使われることは多くありません(尚、本書の訳文では訳出されていません)。少なくとも大学入試の論説文で、最も多く使われるのは「というのは~だからだ」「だって~なのだから」という意味で、これは理由を表す等位接続詞 for とほぼ同じと考えると分かりやすいです。
例えば辞書には以下のような例文が紹介されています。
- You mustn't be too angry with her; after all, she is only a child.
(あの娘のことであまり腹を立ててはいけません。だってまだ子供なんですから」【ジーニアス英和辞典】 - You can't expect to be perfect - after all, it was only your first lesson.
(完璧は期待できません。なにしろ初めてのレッスンだったのですから)【ケンブリッジ英英和辞典】
これらの after all を for に置き換えて読み直してみてください。どれも意味がしっくりくると思います。
もう少し補足すると、after all の前には、少し抽象的で意図が分かりにくい文があります。本文で言えば、you have to be seen to be believed です。これを「なぜそのように言えるのか」ということを説明する、あるいは、自分の意見を正当化する根拠を述べるのが after all の働きです。
尚、この使い方の after all は、接続副詞で、文頭に置かれるのが一般的です。本文の例も
After all, it is no good being frantically busy where no one can see you.
と考えると、より分かりやすいでしょう。とは言え、接続副詞は、however などもそうですが、今回のように文中や文末に置かれることもあります。
12行目-:not just ~ but …
It is not just because ~, but because …
その理由は、単に~というためではなく、…というためでもある。
これは、お馴染みの相関構文 not only ~ but also …(~だけでなく…もまた)の変化形です。
これを not ~ but … (~ではなく…)の構文と読み違えないように注意してください。
not only ~ but also … には多くの変化形があります。例えば以下のようなケースです。
- only の代わりに just, merely, simply, alone などが使われる
- but が省略される
- but の代わりに ;(セミコロン)が使われる
- also が省略される
- also の代わりに too, as well などが使われる
また、これらの複数がコンビネーションになることもあります(例:but も also も省略するなど)。十分注意してください。
構文把握力や精読力をつけたい方にはこちらがオススメです。
最高レベルの英語力を身につけたい方はこちらもチャレンジしてみてください。