名著ですが解説が少ないという評判の「基礎英語長文問題精講」の解説を補足しています。本書の解説と別冊の解答・解説をよく読んだ上で、疑問点がある方は是非参考にしてください。
本文
3行目:文構造
[Patrick Henry, a distinguished statesman and patriot (when the American colonies won their independence from Britain)], is remembered (most) (for his words, “Give me liberty or give me death.”)
【和訳】パトリック・ヘンリーは、アメリカ人の植民地がイギリスから独立を勝ち取ったときの著名な政治家であり愛国者であったが、彼の「我に自由を与えよ、さもなくば死を」という言葉によって最もよく記憶されている
- マーカーで記した2箇所の,(カンマ)はそれぞれ同格
- most は副詞
8行目:副詞の though
Something has happened lately, though, and American speech has lacked force and effectiveness.
【和訳】しかし、最近何かが起こり、アメリカ人の言葉は力と効力を欠くようになった。
though は、従位接続詞(~だけれども)としての使い方が一般的ですが、ここでは違います。
- ―――――― , though , ―――――― .
- ――――――――――――― , though.
上記のような形で、カンマで区切られ、文中、文末に出てくる though は副詞(接続副詞)です。文法的働きと意味は、ほぼ however(しかしながら)と同じだと考えてください。
尚、一般的な接続詞の though は although と置き換えることができますが、although にはこのような副詞の用法はありません。
24行目:administrative
本書では administrative assistant を「重役補佐」と訳しています。たしかに administrative が「重役」を意味することはありますし、この文脈では「重要そうに聞こえる」ということがポイントなので、ある意味上手い訳ではあるのですが、個人的には「管理業務スタッフ」くらいに訳すべきかと思います。
というのは、administer の基本的な意味は「管理する」だからです。国や会社の管理・経営から、さまざまなことを「する」程度の意味まで、実に幅広い「管理」を表すことができる便利な単語です。例えば、会社の「総務部」のことを administration department と呼んだりします。
ここでは「秘書」の話ですが、全ての秘書が企業の重役を補佐するわけではありません。他にも、例えば、弁護士を補佐する秘書や、医師を補佐する秘書など、秘書にもいろいろあるので、「重役補佐」という訳にはちょっと違和感を感じました。
31行目:will do
Never use a long word when a short one will do.
【和訳】短い言葉で間に合うときには、決して長い言葉を使ってはいけない。
[物事] will do. という形で使われる do は、「[物事]が目的を果たす、役に立つ、間に合う」という意味の自動詞です。
例:
- That will do.(それでいい[十分だ/大丈夫だ])
- Anything will do.(何でもいい)
- Whichever will do.(どっちでもいい)
設問
問C (4)
I may feel some discomfort.
= I may feel somewhat (uncomfortable).
深読みした人は、内容の言い換えと考えて pain を入れてしまったかもしれませんが、somewhat は「やや」という意味の副詞ですので、名詞の pain を修飾できません。
この問題は、
- some(形容詞) ⇒ discomfort(名詞)
- somewhat(副詞)⇒ uncomfortable(形容詞)
という品詞の異なる派生語同士の結び付きを問う、ある意味シンプルな書き換え問題です。
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