英語で、何らかの文の要素を強調する方法はいくつかありますが、その中で It is ~ that … の形で強調するものを、一般的に「強調構文」と呼びます。非常に重要な文法事項なのですが、市販のテキストや参考書で詳しく説明しているものは意外と少なく、よく理解していない受験生が多いようです。ここでは、そもそも強調構文とはどんなものなのか?強調構文の作り方や訳し方などを、例文と共に、基礎の基礎から分かりやすく説明しています。また、例題や練習問題も用意しています。強調構文の理解に不安のある方は是非活用してください。
強調構文とは?
基本パターン
例えば以下のような普通の文があったとします。
- My father cooks dinner on Sunday.(私の父は日曜日夕食を作る)
この文には、A. My father, B. dinner, C. on Sunday という、3つの強調できる要素があります。これらを It is ~ that … の形を使って強調する場合、手順は以下のようになります。
- 強調したいものを移動してきて It is と that の間にはさむ
- 残ったものはそのままにして文を続ける
この文では、強調できる要素が3つあるので、強調構文も3種類できることになります。それぞれ以下の通りです。
- It is my father that cooks dinner on Sunday.
(日曜日夕食を作るのは私の父だ) - It is dinner that my father cooks on Sunday.
(私の父が日曜日作るのは夕食だ) - It is every day that my father cooks on Sunday.
(私の父が夕食を作るのは日曜日だ)
日本語訳に注目してください。強調構文は「…のは~だ」と訳します。強調したいものが『~』の部分です。
強調構文の特徴
また、これらの文から It is と that を取り除いた文を考えてみてください。それぞれ以下のようになります。
- My father cooks dinner on Sunday.
- Dinner my father cooks on Sunday.
- On Sunday my father cooks dinner.
A の文はまさに元の文そのものです。B の文は、目的語の dinner が文頭に出て倒置した形になっていますが、英語にはこのような OVS の倒置構文はたまに現れます。C の文は、時を表す副詞句 on Sunday が文頭に出ていますが、これは普通によくあることです。このように、強調構文は、It is と that を取り除くと、元の正しい文が現れます。これは強調構文の大きな特徴で、形式主語構文など他の似た構文と区別する際の重要なポイントになりますので、是非よく覚えておいてください。
【関連記事】強調構文の見分け方(形式主語構文や関係代名詞との違い)
また、強調構文で強調できるものは、名詞または副詞のいずれかです(「副詞」とは、「副詞句」や「副詞節」も含みます)。形容詞や動詞は強調することができません。
例題
以下の文の下線部 A, B, C をそれぞれ強調した文を作り、日本語に訳しなさい。
- I like him because he is honest.(私は彼が正直だから彼のことが好きだ)
応用パターンいろいろ
最初に It is ~ that … の強調構文と紹介しましたが、もしその内容が過去のことだったら(強調する前の元の文の述語動詞が過去形だったら)、It was ~ that … という形になることがあります(※ is のままのこともあります)。
- Tom met Mary in London.(トムはロンドンでメアリーに会った)
- It was in London that Tom met Mary.
(トムがメアリーに会ったのはロンドンでだった)
また、強調する語句が人の場合は that の代わりに who を、物の場合は which を使うことがあります。
- He said that.(彼はそれを言った)
- It was he who said that.
(それを言ったのは彼だった)
また、強調する文が否定の内容だったら(強調する前の元の文が否定文だったら)、It is[was] not ~ that … という形になります。
- I don’t like English.(私は英語が好きではない)
- It isn’t English that I like.
(私が好きなのは英語ではない)
疑問文だったら、Is[Was] it ~ that … という形になります。
- Did you buy the bag last week?(あなたは先週そのバッグを買いましたか)
- Was it last week that you bought the bag?
(あなたがそのバッグを買ったのは先週だったのですか)
疑問詞を強調する場合は、疑問詞 + is[was] + it + that …? という形になります。
- Who was he talking with there?(彼はそこで誰と話していたのですか)
- Who was it that he was talking with there?
(彼はそこで話していたのは誰だったのですか)
このパターンはちょっと分かりにくいと思うので補足しておきます。強調構文は「It is と that で強調したいものをはさむ」というのが基本パターンなのですが、このパターンでは、強調したいものが疑問詞(Who)です。英語の疑問文のルールとして、疑問詞は文頭に持って来ないといけませんので、結果的に、強調したいものがはさまれないことになってしまうのです。また、be動詞の疑問文ですので、語順は基本パターンの It was ではなく、Was it になります。
というわけで、このパターンの「疑問詞を使った強調構文」は、強調構文だということに気づきにくい要注意の形です。下線部和訳問題でも頻出で、これを「~のは…」という強調構文の訳ができなかったらアウトです。「疑問詞 + is it that …? の形は強調構文」だと、よく覚えておきましょう。
練習問題
1. 次の文を日本語に訳しなさい。
- It was on May 5 that I met her.
- It was Susan who drew this picture.
- What was it that you wanted?
2. 次の英文のカッコ内に入れるのに最も適当なものを選びなさい。
- ( ) in 1912 that Titanic sank during her first voyage.
① It being ② It was ③ When it is ④ When it was - It was ( ) that we had a party.
① us ② a meeting ③ you ④ last nigh - What was it ( ) made you interested in Japan in the first place?
① had ② has ③ if ④ that - It is this system ( ) the driving force to compete and win.
① and Bill Gates gave ② that gave Bill Gates
③ how Bill Gates gives ④ when Bill Gates gives
3. ( )内の語句を並べ替えなさい。
- その作家が生まれたのはニューヨークでした。
( New York / that / the writer / was / it / born / was / in ). - あなたが今度のパーティーで私に会わせたい人は誰ですか。
( is / it / me / that / you want / who )to see at the party. - Kazuo is good at mathematics. He often helps his friend with their math homework. However, it is( English / but / that / not / mathematics )he really likes.
- 時に大切なのは、あなたの言い分ではなく言い方である。
At times, it’s not what( but / how / have to say / that / you / you say it )is important. - 私にこれまで頑張り続ける勇気を与えてくれたのはあなたです。[1語不足]
It’s( me / courage / the / who / you / have / to / on / carry ).
4. 次の文には誤りがある。1語加えて正しい文に書き換えなさい。
- It was London that Mary bought this umbrella.
5. 次の文で誤りのある箇所を選びなさい。
- He was only by a supreme effort of will and courage that he was able to pull himself together.
6. 次の日本文を、英文に直しなさい。
- 私たちが帰ることに決めたのは、彼女が病気だったからだ。
- 私たちが初めて釣りに出かけたのは、昨年の夏休みのことでした。