受験英語の必修事項の一つである be to 構文。「予定」「運命」「義務」「可能」「意図」の5つの意味があり、「なぜこんなに違う意味がいろいろあるのか?」「覚えられない!」「見分けられない!」と言う声をよく聞きます。ここでは、そんな be to 構文の意味や覚え方、見分け方を詳しく解説します。
be to 構文の意味、覚え方
参考書等でよく見かける be to の例文は以下のようなものです。
- We are to meet at the station at seven.【予定】
(私たちは7時に駅で会うことになっている) - They were never to see each other again.【運命】
(彼らは二度とお互いに会うことはなかった) - You are to wait here until I return.【義務】
(私が戻ってくるまでここで待ちなさい) - The ring was not to be seen anywhere.【可能】
(指輪はどこにも見つからなかった) - If we are to win the match, we will have to try something special.【意図】
(この試合に勝ちたいなら、何か特別なことを試さなければならない)
いかにも5つ全く違う意味が並んでいるように見えます。「見分けられない!」と嘆きたくなる気持ちも分かりますが、安心してください。実は、そもそも be to 構文の意味は、ほとんどの場合見分ける必要がないのです。
なぜ「見分ける必要がない」と言えるかは後で説明するとして、まずは、一応これら5つの意味の覚え方の語呂合わせを二つご紹介しておきます。
語呂合わせ
最近結構有名なやつです。
「ビート(be to)たけしはギョウカイ人[=ビートたけしは業界人]
芸能界のことを「業界」と言うことがありますね。
もう一つはこちら。
「コイビト(be to)は カギヨウイ[=恋人は鍵用意]」
恋人同士になったら、合鍵を持ってお互いの家に出入りしましょう、ということです。かなり深い関係の恋人ですね(笑) 個人的にはこの語呂合わせの方が好きです。
あまり見分ける必要がないとは言え、be to 構文の解説では「予定」「運命」「義務」「可能」「意図」という言葉はどうしても出てきます。どちらか好きな語呂合わせを使ってサクッと覚えておきましょう。
be to 構文の本質、考え方
「~することになっている」が共通イメージ
さて、ここからが本題です。実は、be to の「予定」「運命」「義務」「可能」「意図」の5つの意味は、全て基本的には以下の和訳一つで説明することができます。
「~することになっている」
ここでポイントになるのが to不定詞の本質です。
不定詞の to は、大昔の英語では前置詞の to(~に)と同じものでした。go to school などを考えてみれば分かる通り、前置詞の to には、何かに向かって進む「右方向の矢印 (⇒)」のイメージがあります。そこから転じて、to 不定詞では、未来に向かって進む「未来志向」のイメージが生まれたのです。このあたりの説明については、以下の記事でも詳しく説明していますので合わせて読んでみてください。
【関連記事】不定詞・動名詞の使い分けとその覚え方
「~することになっている」という和訳からは、なんとなく現在から未来に向かっている「右方向の矢印 (⇒)」を想像できるのではないでしょうか。
ただし、それだけでは分かりにくいこともあるはずなので、5つの意味それぞれについて説明の補足をしていきます。全てにおいて「~することになっている」(「右方向の矢印 (⇒)」)が共通イメージになっていることを頭に置いて、以下の説明を読んでみてください。
予定(~する予定だ、~することになっている)
「~することになっている」という基本の訳に一番当てはめやすいのがこれです。
- Trump is to meet Kim in Hanoi next week.
(トランプはキムと来週ハノイで会うことになっている)
これは、第三者を巻き込んだ公式な予定や約束で好まれる表現です。「あることが予定として決まっている」「そうすることになっている」ということですね。
「公式の予定・約束」は、自分の意志で勝手に決めたものではないので、will で言い換えることはできません。be going to なら間違いではありませんが、どちらかと言えば be scheduled to に近い表現です。
意図(~するつもり、~したい)
これについてはまずは例文を見てみましょう。二つの例文のいずれも be to が if節の中で使われていることに注目してください。
- If you are to succeed in your new job, you must work hard now.
(あなたが新しい仕事で成功するつもりなら、今一生懸命努力しなければならない) - Keep my advice if you are to get promoted.
(昇進したいなら、私のアドバイスを心に留めておきなさい)
実は、この be to は「予定」の一種です。if 節で使われた場合の「予定」は、いくら自分が「そうすることになっている」と思っていても、それが実現できるかどうかはまだ分からないですよね。よって「もしその予定の方向に進むには」⇒「~するつもりなら」⇒「~したいなら」という「意図」の意味が含まれるようになったのです。
ちなみに、主節の方は must が含まれるか、または命令文であるなど、強い義務を表す内容であることが多いです。
この if節で使われる be to は、入試の和訳問題で頻出です。ここでの訳は残念ながら「~することになっている」とするのではイマイチで、「意図」のニュアンスを表現した「もし~するつもりなら」「もし~したいなら」という訳が条件反射で出てくるようにしておいてください。くれぐれも「もし~するなら」という訳はしないでください。この訳は be to を全く理解していないと見なされ大きな減点になります。
受験対策としては、「if節(イフ)」の be to は「意図(イト)」と覚えておくとよいでしょう。
義務(~しなければならない、~するべき)
「あなたは当然そうすることになっている。それは決まりきったことだ。だから絶対そうしなさい」ということから、「義務」の意味が生まれました。命令的なニュアンスが強く、must に近い表現です。
- You are to leave at once.[≒You must leave ~.]
(すぐにここを出ていきなさい) - You are to tell me of any problem.[≒You must tell ~.]
(何か問題があったら何でも私に言いなさい)
否定文では「禁止」を表します。
- You are not to leave this building.[≒You must not leave ~.]
(この建物を出てはいけません)
運命(~する運命だ)、可能(~できる)
一般的には「運命」と「可能」は分けて説明されますが、実は同じものと考えることができます。
まず、この2つはどちらも、ほとんどの場合過去形で使われるということを押さえてください。例文を見てみましょう。
- They were never to see each other again.【運命】
(彼らは二度とお互いに会うことはなかった) - The plan was to teach him a lesson.【運命】
(その計画は彼にとって教訓となった) - The ring was not to be found anywhere.【可能】
(指輪はどこにも見つからなかった) - Not a sound was to be heard. 【可能】
(物音ひとつ聞こえなかった)
「運命」とか「可能」という言葉にとらわれずにこの4つの例文を眺めてみると、どれも同じように見えないでしょうか。共通点は、「あることが物事の自然な成り行きとしてそうなった」という、やはりこれも「右方向の矢印 (⇒)」のイメージです。
「~することになっている」という基本の訳に照らし合わせてみると、「運命」については、「最終的な結末は(運命として)初めから決まっていたことだった」と考えられるので、まあまあ納得できるでしょう。ただし実際は「その後~することになった」程度の文脈で使われるので、「運命」という言葉は若干大げさな感はあります。
ちょっと分かりにくいのが「可能」です。一見「~することになっている」という基本の訳とは結び付けにくいのですが、これは「(指輪はそもそもそのへんになかったので)最初から見つからないことになっていた」という発想から成り立っています。実は「可能」の意味は「指輪はどこにも見つからなかった」⇒「どこにも見つけることはできなかった」という意訳をしているだけなのです。
そう考えると、「運命」「可能」などという分類はせず、両方ひっくるめて、「既定路線の実現」とでも呼んだほうがよいかもしれません。
ちなみに、「可能」は、一般的に「過去形」&「否定文」&「受動態」という3条件のセットで使われます。5つの意味のうちのどれかをどうしても見分けたいことがあったら参考にしてください。
まとめ/暗記ポイント
いかがでしたでしょうか?be to 構文には共通するイメージがあることを分かってもらえたと思います。英文の意味をざっとつかめばよい場合は、「これは5つのうちのどの意味だろうか?」などといちいち悩まず、「~することになっている」と訳してどんどん読み進めてください。
ただし、和訳問題に出てきた場合や、深い読解が必要な場合など、いざというときには、どの意味で使われているのかを、はっきり選べないまでもある程度絞る(例:「『義務』か『予定』のどちらか」など)ことで、得点アップにつながることもあります。特に「意図」は和訳問題で頻出なので、見分け方と訳し方をよく覚えておく必要があります。今回ご紹介した内容は「見分け方」という観点でも役に立つと思うので、全てを暗記する必要はありませんが、気になるときには参考にしてください。
- be to 構文の5つの意味は?
- be to 構文の訳を一つだけ覚えておくとしたら?
- If 節の中で出てきた be to はどう訳す?
練習問題
1.次の英文の( )内に当てはまるものを入れよ。
※ ここでは正解は be to だろうと見当がついてしまうと思うので、「それ以外の選択肢がなぜ不正解か」と「5つの意味の中のどれになりそうか(どんな訳になるか)」を考えながら解いてみてください。
- The president of the company announced today that a new store is ( ) next year.
① building ② built ③ to be building ④ to be built - If we ( ) there by lunchtime, we had better hurry.
① go to get ② had got ③ are to get ④ will have got - Not a star ( ) seen in the sky.
① was to be ② being ③ has ④ had - On the last day of the festival this year, a violin concert ( ) held at this hall.
① has been ③ is to be ③ was to have ④ had - At this corner there occurred an accident that ( ) for years.
① remembered ② was to be remembered
③ has remembered ④ was to have been remembered - ( ) you are to get to the meeting in time, you should leave now.
① If ② Although ③ When ④ While
2.[ ]内の語句を並べ替えなさい。
- その国際会議は明後日開催される予定です
The[ after / be / conference / day / held / international / is / the / to ]tomorrow. - The key[ not / was / be / found / to ]anywhere.
- 飛行機がまもなく飛ぶのは嬉しいです
[ the plane / glad / is / am / take / I / off / to ]soon.
3.与えられた語を用いて日本文に合う8語の英文を書きなさい。
- 「誰かが空港に私たちを迎えにきてくれることになっていた」
was / meet / airport