another / others / the other / the others の区別(前編)

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問題

次の英文の(  )に入れるのに最も適当なものを、1~4のうちから一つ選べ

問1.
There are two reasons for our decision, and you know one of them. Now I’ll tell you (  ).
1. another 2. other 3. the other 4. the others

[センター試験]

問2
I’ve already had one bad experience buying goods by mail order and I don’t want (  ).
1. another 2. any longer 3. at all 4. other

[センター試験]

問3
Only about a half of these students are natives of Tokyo; (  ) come from the provinces.
1. the other 2. the others 3. another 4. others

[青山学院大]

問4
Some students prefer learning a language by reading books, while (  ) prefer to talk with people.
1. some other 2. another 3. the others 4. others

[広島修道大]

解説

代名詞another / others / the other / the others を区別するためには、冠詞を理解することが重要です。そもそも冠詞には、不定冠詞a/an)と定冠詞the)の二種類がありますが、この二つには以下のような違いがあります。

  • 不定冠詞(a/an):不特定の一つ、どれでもよい、選択の余地がある
  • 定冠詞(the)  :特定、「これ」と決まったもの、選択の余地がない

a/an不定冠詞と呼ばれますが、これらは「不定」と言うくらいですので「不特定」のものを指します。もし「不特定」という言葉が分かりづらかったら、「どれでもよい」くらいに考えておいてください。また「どれでもよい」ということは、言い換えると「選択の余地がある」ということにもなります。

一方、the の方は冠詞と呼ばれますが、この「定」は「特定」という意味です。「特定」とは、その場にいる人が共通認識できる「『これ』と決まったもの」ということで、それは言い換えると、「選択の余地がない」ということでもあります。ちなみに、不定冠詞 a/an は単数名詞にしかつきませんが、定冠詞 the のほうは単数にも複数にもつきます。

そこで、このことを踏まえると、another / others / the other / the others は以下のような表で整理することができます。

単数 複数
不特定 another others
特定 the other the others

まず、another については、an + other で成り立っている単語だということに注意してください。つまり、不特定単数なのです。

そして、その another が複数になるとどうなるか?冠詞の an は取れて、複数形の s がつきますね。それが others です。others とはつまり another の複数形なので、不特定複数です。

一方、不特定の another を特定にしたかったらどうなるか?不定冠詞の an を、定冠詞の the に変えればよいですね。それが the other で、特定単数です。

ここまでくればもうお分かりでしょう。the others は、the other の複数形であり、また、others の特定バージョンとも言えます。つまり、特定複数です。

ちなみに、これらの中に 単独の other は含まれていないことに注意してください。上の4つは代名詞ですが、other は形容詞で、other + 名詞 という形で常に名詞を伴い、other 単独で用いられることはありません。このことはまた別途ご説明します。
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ではそれぞれをもう少し具体的に見ていきましょう。

another のイメージ


例えば、ものが4つあるとして、1つ目に取るものを one としたら、2つ目に取るものは、残り3つの中から好きなものを選ぶことができますね。このように、選択の余地がある、どれでもよい不特定の一つが another です。

others のイメージ


例えば、ものがたくさんあり、最初に適当に選んだ複数を some とします。その残りから、また適当に複数(※残り全てではない)を選ぶ場合、選択の余地がある、不特定の複数なので、others となります。

the other のイメージ


例えば、ものが2つあるとします。最初に選んだものを one とすると、次に取るべきものは残り一つしかありませんね。つまり「この一つ」と特定されてしまった、選択の余地のない単数ですので、これは the other になります。


あるいは、ものが3つあるとしましょう。最初に選ぶ one は3つの中から好きなものを選ぶことができます(1/3)。2つ目に選ぶものは、残り2つの中から1つを選ぶことができる(1/2)ので anotherです。そして、最後に残ったものは、もう選択の余地がない(1/1)状態になっているので、the other です。 the other は日本語の「残りの一つ」と言い換えることができます。

the others のイメージ


例えば、ものが3つあるとします。最初に one を選び、「残った2つの中から2つを選べ」と言われたら、もう選択の余地はありませんね(2/2)。このように、選択の余地のない複数が the others です。


同じような話ですが、ものがもっとたくさんあって、最初に適当な複数 some を選んだとします。「残り全てを選べ」と言われたら、これも選択の余地はありませんね。つまり、the others は日本語の「残り全て」と言い換えることができます。

解答

問1. 正解3
There are two reasons for our decision, and you know one of them. Now I’ll tell you (the other).
1. another 2. other 3. the other 4. the others
(私たちの決定には2つの理由があって、あなたはそのうちの1つを知っています。ここでもう一つの理由を話しましょう)

2つのうちの1つ(one)があって、残る1つは、選択の余地がない単数ですので、the other です。

問2. 正解1
I’ve already had one bad experience buying goods by mail order and I don’t want (another).
1. another 2. any longer 3. at all 4. other
(通販で品物を買ってすでに一度苦い経験をしているので、もう一度そのような経験はしたくない)

最初の一度の経験(one bad experience)の次に起こる「不特定の別の経験」ということですので、another です。

問3. 正解2
Only about a half of these students are natives of Tokyo; (the others) come from the provinces.
1. the other 2. the others 3. another 4. others
(これらの学生の約半数だけが東京出身で、残りは地方出身だ)

まず 動詞 come に三単現の s がついていないので、複数を選ぶべきことを確認。文脈的に「東京出身の学生以外の全員」ととるのが自然なので the others を選びます。(もし others を使うなら「残りの学生の中には、○○出身者や、△△出身者がいる」という文でないと不自然でしょう。)

問4. 正解4
Some students prefer learning a language by reading books, while (others) prefer to talk with people.
1. some other 2. another 3. the others 4. others
(本を読んで言語を習得したいという生徒もいれば、会話をしたいという生徒もいる)

本を読んで言語を習得したい生徒以外全てが、ということではなく、他の方法が好きな生徒もいれば、全部嫌いという生徒もいるでしょうから、the others ではなく、特定しない others が適切です。また、英語の文章では、some と others が対で使われることが非常に多いので、その点からも others だろうと想像できます。

まとめ/暗記ポイント

  • 不定冠詞(a/an)のポイント
  • 定冠詞(the)のポイント
  • another =(不特定/特定)の(単数/複数)
  • others =(不特定/特定)の(単数/複数)
  • the other =(不特定/特定)の(単数/複数)
  • the others =(不特定/特定)の(単数/複数)
  • B!