慶応・経済の英作文対策・書き方・コツ・模範解答

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慶応大学経済学部では毎年恒例で、長文問題に基づいた自由英作文が出題されます。私も生徒の過去問をよく添削しますが、英語の偏差値が高い生徒でも英作文となるとどうもイマイチなものが多く、一方で赤本や予備校の出す模範解答は生徒が参考にしにくい変則的な構成のものが多いようです。そこで今回は、全ての生徒が書けそうな構成のテンプレート模範解答書き方のコツやご紹介します。尚、今回の内容は、以前ご紹介した「【型を決める】自由英作文の書き方・コツ・解答例」の内容を発展させたものになっています。「自由英作文自体がとても苦手」という方は、まずそちらの記事を読むことをおすすめします。

基本方針

文字数はどのくらいがよいか?

文字数はどのくらいがよいか?」ということは多くの人が気になるポイントだと思います。大学側が公表していない以上想像の域を出ませんが、赤本や予備校の模範解答を見るとだいたい150~250字なので、このあたりが目安と言えるのではないでしょうか。譲歩⇒打消を入れた作文はどうしてもそれなりの文字数が必要なので、100字では短すぎるのは間違いありません。私が今回の解答例を作成してみたところ、理由1つだと180語前後、理由2つだと230語前後になったということも参考にしてください。

「設問A」のテーマ(問Ⅰ、問Ⅱの内容)を選ぶ

自由英作文のテーマは(A)(B)、二つのうちいずれかを選ぶようになっていますが、よほど苦手なテーマでない限り、基本的にはテーマ(A)を選ぶことをおすすめします。というのは、テーマ(A)の方は「問Ⅰ」「問Ⅱ二つの長文の内容に対応するものであり、テーマ(B)よりも賛否それぞれの理由が多く記されています。当然選択肢が多いほうが、自分の書きやすい理由を選びやすく、また問Ⅰ、問Ⅱの記述を組み合わせることによって、丸写しっぽくないオリジナリティのある作文になります。

「賛成or反対」と「その理由」を決める

テーマ(A)に対応する「問Ⅰ」「問Ⅱ」を読み、賛成or反対いずれかの立場と、それを支持する自分が強いと思う理由できれば2つ)を考えます。理由は自分独自のものがあれば望ましいですが、思いつかない場合は本文で言及されているものでも構いません。その場合は肉付けで独自の視点を盛り込むか、最低でも本文の表現を言い換えましょう。

また、理由は2つの方が見栄えはいいですが、もちろん時間は余計にかかります。理由1つでも形にはなりますので、過去問演習の段階で自分が理由を2つ書く余裕があるかどうかを見極め、理由1つにするか2つにするかを予め決めておくとよいでしょう。

自分と逆の立場の理由[譲歩]と、その打消し理由を考える

ご存じのように、慶応経済の自由英作文では「自分の意見と異なる見解に言及し、それに反論すること」という指示があります。そこで、自分の立場と逆(賛成だったら反対、反対だったら賛成)の理由[=譲歩]と、それを打ち消す理由[=打消]を考えます。このとき注意したいのが、「譲歩」の理由は前項で選んだ「自分が強いと思う理由」よりも弱い、反論しやすい理由を選ぶということです。これをしっかり考えないと、自分の主張が説得力のない(論理的でない)ものになってしまうので気を付けてください(詳しくはこちらの記事を参照)。

譲歩・打消も、できれば自分独自のものがあれば望ましいですが、思いつかない場合は本文で言及されているもので構いません。特に、論理的思考が苦手な人にとって譲歩・打消はやや難しいので、本文中で譲歩⇒打消がセットで記述されている場合はそれを使ったほうが無難ではあります。

おすすめの構成:主張⇒譲歩⇒打消⇒理由×2⇒再主張

難しいのは、譲歩をどこに入れるかということです。上手い人はどこに入れても形になるのですが、おそらくこの記事を読んでいる人は何らかの不安がある人だと思いますので、そういった方には以下の構成をおすすめします。

主張⇒譲歩⇒打消⇒理由×2⇒再主張

このように、冒頭で自分の主張を簡潔に述べた直後に「譲歩⇒打消」を入れ、その後でゆっくり自分の主張の理由を述べます。「譲歩」という、言わば「自分の敵」は早々に倒して、その後で「自分の攻撃(=理由)」を畳みかけるというイメージです。この構成は、読者が読み終わった後に自分の主張が印象に残りやすくなるという効果があります。

もう少し具体的に言うと、各段落を以下のような表現を使ってまとめます。

主張+理由の要点I think[don’t think]~. This is because
譲歩:Some may say ~. + 肉付け1文
打消:However, ~. + 肉付け2文
理由1:More importantly, ~ + 肉付け2~3文(この中に「For example, 引用」を含める)
理由2:In addition, ~ . + 肉付け2~3文(※オプション)
再主張:In conclusion, ~.  (※オプションだができれば書きたい)

この構成にする場合、まずは冒頭の主張の直後に「理由の要点」を入れるということを忘れないでください。これは、次の段落で「譲歩」という自分とは逆の立場を述べることになるので、その前に採点者に自分の立場をはっきり印象づけておくためです(詳しくはこちらの記事を参照)。そしてその譲歩をきれいに打ち消したら、「理由1」で、冒頭で述べた「理由の要点」を掘り下げ、自分の主張を詳しく論じます。ここに引用を入れるのがおすすめです。理由はできれば2つあるとよいですが、時間がなければ1つでもよい、ということは既に述べた通り。曲者は最後の「再主張[=結論]」です。できれば書きたいのですが、意外と難しいところなので、うまい再主張が思いつかない場合は、省略しても絶対にダメではありません。詳しくは、解答例の詳解や、こちらの記事の解説を参照してください。

解答例

2021年の問題「Should the Japanese government regulate the use of facial recognition technology?(顔認証システム規制の是非)」について、解答例理由2つ構成)ご紹介します。できれば、この解答例を読む前に、ざっとでよいので先に実際の問Ⅰ、問Ⅱの長文を読んでおくと、より理解が深まります。

規制に賛成(※顔認証システムに反対)

構成メモ

受験生の皆さんはもっと簡潔なもので構いませんが、英文を書き始める前に、以下のようにまずは日本語で構成のポイントをまとめることを強くおすすめします。

  • 主張:賛成 ← 顔認証には認識ミスがある【問Ⅱ⑥~⑦段落】
  • 譲歩:確かに買い物には便利【問Ⅰ③段落】
  • 打消:しかしその店で顔画像がどう使われるか分からない【問Ⅱ②④段落】
  • 理由1:(それより大事なことは)認識ミスがあり信頼できない【問Ⅱ⑥段落】 ⇒ 引用「万引で誤認逮捕」⇒ 心の傷は取り返しがつかない【独自視点】
  • 理由2:(加えて)肌の色で認識ミスが多い【問Ⅱ⑦段落】⇒ 黒人がますます差別される【独自視点】
  • 再主張:認識ミスがなくなるまで規制すべき

解答例

I think the Japanese government should regulate the use of facial recognition technology. This is because the technology is imperfect, and it might recognize people incorrectly.

Some may say that facial recognition technology will make shopping much more convenient. Indeed, with facial recognition technology, we wouldn’t need to carry money or credit cards or even stand at the register.

However, we cannot prevent shop owners from capturing our facial images and have no control over how they use them. They may use those images to get us to buy more or something more expensive. Also, it is even possible that those images may be leaked and used for criminal purposes.

More importantly, facial recognition technology is not perfect or reliable. It can recognize people incorrectly and identify innocent people as criminals. For example, as we see in paragraph 6 in U.C. Mee’s article (2019), a student was arrested for shoplifting mistakenly, which left trauma in his mind. If this should happen with a more serious crime and someone should get the death penalty, it cannot be made up for.

In addition, it is said that facial recognition technology is less accurate for darker skin. It means that black people are more likely to be misidentified as criminals. That will put black people, who are already discriminated against, in a more difficult situation.

In conclusion, however convenient facial recognition technology is, the risk of false recognition cannot be ignored. Facial recognition technology should be regulated unless it is improved to be reliable enough.
(252字)

解答例詳解

I think the Japanese government should regulate the use of facial recognition technology. This is because the technology is imperfect, and it might recognize people incorrectly.
私は日本政府は顔認識技術の使用を規制すべきだと思う。なぜなら、この技術は完璧ではなく、人を誤って認識してしまうかもしれないからだ。

既に述べた通り、I think ~. の文の直後に、This is because ~. と続け、まずは自分の主張の根拠を簡潔に(抽象的に)まとめます。私は「認識ミス」を根拠としましたが、これは、認識ミスが原因で起きた「万引の誤認逮捕」という具体例が重大な人権侵害[=強い理由]と言えるからです。尚、本文では misidentification という単語が使われていましたが、これを recognize ~ incorrectly と言い換え、また imperfect(完璧でない)という表現で軽く一般化しています。

Some may say that facial recognition technology will make shopping much more convenient. Indeed, with facial recognition technology, we wouldn’t need to carry money or credit cards or even stand at the register.
中には、顔認証技術によって買い物が便利になると言う人もいるかもしれない。たしかに顔認証技術があれば、お金やクレジットカードを持ち歩かなくてもよいし、レジに立つ必要すらないだろう。

Some may say that ~. で譲歩の始まりを宣言し、打ち消しやすい軽いメリット「買い物が便利」を述べます。譲歩はあくまでも自分の主張とは逆の立場ですので、肉付けは Indeed(たしかに)~ の1文で軽く肉付けするだけにしています。尚、somemayindeed は全て譲歩のディスコースマーカーです(参考:ディスコースマーカー(論理マーカー)一覧
【語句】□stand at the register「レジに並ぶ」 ※stand in a checkout line なども可

However, we cannot prevent shop owners from capturing our facial images and have no control over how they use them. They may use those images to get us to buy more or something more expensive. Also, it is even possible that those images may be leaked and used for criminal purposes.
しかし、我々は店主が顔画像を保存することを防ぐことはできず、また彼らがその画像をどのように使うかをコントロールできない。彼らは我々がより多くのもの、あるいはより高価なものを買うように仕向けるためにその画像を利用するかもしれない。また、その画像が流出して犯罪に使われる可能性さえある。

However, ~ で前の段落の譲歩を打ち消します。譲歩では肉付けは1文だけでしたが、打消では2文で肉付けして説得力を持たせるとよいでしょう。注意してほしいのは、ここで述べるべき内容は、譲歩で述べた「買い物が便利」という論点に対する反論だということです。例えば「買い物は便利でも、認識ミスがある」といった反論は、論点をすり替えているのでよくありません。そこで「買い物は便利でも、その店で顔画像が悪用される」という論理を考えました。ちなみに、この内容は問Ⅱの②④段落を統合したようなものになっています。前の段落の譲歩の内容は問Ⅰから引っ張って来ており、このように複数の段落や問をまたがるような形で意見をまとめると、本文の内容を借りた内容であってもオリジナリティが生まれます。
【語句】□caputre「(データ・画像などを)取り込む、キャプチャーする、ファイルに保存する」

More importantly, facial recognition technology is not perfect or reliable. It can recognize people incorrectly and identify innocent people as criminals. For example, as we see in paragraph 6 in U.C. Mee’s article (2019), a student was arrested for shoplifting mistakenly, which left trauma in his mind. If this should happen with a more serious crime and someone should get the death penalty, it cannot be made up for.
それよりも重要なことは、顔認識技術は完璧ではなく信頼性も低いということである。人を誤って認識し、罪のない人を犯罪者として認識してしまう可能性があるのだ。例えば、U.C.Mee氏の記事(2019年)の第6段落にあるように、学生が万引きで誤認逮捕され、心にトラウマを残してしまったということがある。これが万一もっと重大な犯罪で、誰かが死刑になるようなことがあったら取り返しがつかない。

More importantly, ~ の書き出しで、自分の主張の本来の理由(冒頭の「理由の要点」の具体化)「認識ミス」について述べます。冒頭では imperfect を使いましたが、ここでは別の一般化表現「信頼性が低い」と並列するために not perfect or reliable としたのが細かい工夫です(この or を and にしないように注意!)。技術が不完全であることの肉付けとして、本文にある「万引の誤認逮捕」という具体例を引用しました。ここの段落は自分の主張の肝ですので、引用を使ってボリュームアップさせるのです。引用の仕方は問題文にも例が示されていますが、それ以外でもこの解答例のように” “(ダブルクォーテーション)を使わずに本文の内容を言い換えた形の引用も可能です。そして、このことを発展させて独自視点で「誤認逮捕で死刑になったらどうするのか」と論じ、技術が不完全であることの重大性を強調します。肉付けは合計2~3文で、全ての段落の中で一番長くなるようにするのが理想です。
【語句】□not A or B「AでもBでもない」※not A and B は「A且つBというわけではない」(部分否定) □if S should V「万一SVなら」 □death penalty「死刑」※capital punishment とも言う

In addition, it is said that facial recognition technology is less accurate for darker skin. It means that black people are more likely to be misidentified as criminals. That will put black people, who are already discriminated against, in a more difficult situation.
また、顔認識技術は肌の色が黒いと精度が落ちると言われている。それはつまり、黒人は犯罪者として誤認されやすいということだ。そうなると、ただでさえ差別されている黒人が、より厳しい状況に追い込まれることになる。

In addition, ~ として2つ目の理由(※オプション)を述べます。2つ目の理由は1つ目とは全く違うものにすることもできますが、同じ系統の理由にしたほうが説得力は増します。今回、まさに本文の連続する段落で「肌の色による認識ミス」という同じ系統の話が展開されていたので、こちらも理由として採用しました。本文では people of color(有色人種)と記述されていましたが、私は予備知識として黒人に対して認識ミスが多いことを知っていたので、darker skin や black people と言い換え、独自視点で黒人の差別問題と絡めた肉付けにしています。
【語句】□discriminate against ~「~を差別する」※discriminate ~「~を区別する」と混同しないよう注意  □put ~ in … situation「~を…な状況に置く」

In conclusion, however convenient facial recognition technology is, the risk of false recognition cannot be ignored. Facial recognition technology should be regulated unless it is improved to be reliable enough.
結論として、顔認証技術がいくら便利であっても、誤認識のリスクは無視できない。顔認証技術は、十分な信頼性が得られるように改善されない限り規制されるべきだ。

既に述べた通り、実はなかなか難しいのが結論[=再主張]です。ここで、Therefore, I think the Japanese government should regulate the use of facial recognition technology. と書く人が多いのですが、このように冒頭で述べたことをそっくり丸写しするような結論なら、ないほうがマシです。書くのであれば必ず何かしら言い換える必要があり、そのときに使えるテクニックが「一般化要約)」と「提言」です。ここでは however convenient~(どんなに便利であっても~)が譲歩で述べた「買い物で便利」という内容を受けており、また the risk of false recogntion cannot be ignored(誤認識のリスクは無視できない)という表現が2つの理由を受けた、自分の意見の要約になっています。そして最後の unless it is improved to be reliable enough(十分な信頼性が得られるように改善されない限り)は、誤認識というデメリットがあることを裏返しにした提言になっています。

規制に反対(※顔認証システムに賛成)

構成メモ

  • 主張:反対 ← 市民生活の安全を増す【問Ⅰ④⑥段落を一般化】
  • 譲歩:たしかに認識ミスはある【問Ⅱ⑥~⑦段落】
  • 打消:他のシステムにも不具合はある【問Ⅰ⑦をアレンジ】⇒ 多くの企業が研究しているのですぐ修正されるはず【独自視点】
  • 理由1:(それより大事なことは)多くの面で市民生活の安全を増す ⇒ 犯罪捜査で役立つ【問Ⅰ④段落】 ⇒ 引用「犯人がすぐに見つかった」
  • 理由2:(さらに)いろいろな場所に設置可能⇒ 犯罪抑止効果が高い【問Ⅰ⑥段落をアレンジした独自視点】
  • 再主張:規制ではなく、むしろ積極的に推進すべき

解答例

I do not think the Japanese government should regulate the use of facial recognition technology. This is because it will help improve the safety of our daily life.

Some may object that the technology is imperfect and might recognize people incorrectly. Indeed, several problems caused by the misrecognition of facial recognition technology have been reported.

However, facial recognition technology is not the only technology with flaws, and there is no perfect technology in the world. It would not be wise to discard useful technology simply because it is flawed. Fortunately, facial recognition technology is getting popular and improved by many companies. Even if it has some technical problems, they will be fixed shortly.

More importantly, facial recognition technology will help improve the safety of our daily life in many ways. First, it helps in crime investigation. For example, as we see in paragraph 4 of Ai Shiyu’s article (2019), the police were able to locate a suspected rapist using facial recognition technology within 24 hours of an incident. Facial recognition technology will make it much easier for the Japanese police to identify criminals.

In addition, facial recognition systems can be used by anyone and placed anywhere. That situation is not only helpful in detecting criminals or suspicious people but also in preventing crime. People are less likely to commit crimes when they know they are being monitored, so the more systems are placed, the safer our life will be.

In conclusion, rather than regulating the use of facial recognition technology, the Japanese government should actively encourage it.

解答例詳解

I do not think the Japanese government should regulate the use of facial recognition technology. This is because it will help improve the safety of our daily life.
私は、日本政府は顔認証技術の利用を規制する必要はないと思う。それは、顔認証技術は日常生活の安全性を向上させることにつながるからだ。

規制に反対(※顔認証システムに賛成)の意見を述べるにあたっては、「日常生活の安全性向上」を理由に挙げることにしました。これは「買い物が便利」などに比べると、説得力のある強い理由と言えるからです。尚、この表現は、後で述べる理由1「犯罪捜査に役立つ」と、理由2「犯罪抑止効果がある」を一般化したものになっています。

Some may object that the technology is imperfect and might recognize people incorrectly. Indeed, several problems caused by the misrecognition of facial recognition technology have been reported.
中には、その技術は不完全で人を誤って認識してしまうのではないかと反論する人がいるかもしれない。確かに、顔認識技術の誤認識によるトラブルはいくつか報告されている。

譲歩の部分は Some may say ~ でもよいのですが、ちょっと洒落て Some may object that ~「~と言って反対する」を使ってみました。「~ということに反対する」という意味ではないことに注意してください。Indeed の一文で軽く肉付けしているのは先ほどと同様ですが、特にここで述べている「認識ミス」は、「規制に賛成」のメイン理由にしたくらい強い理由になりうる論点ですので、揚げ足を取られないようあっさりした肉付けにしています。

However, facial recognition technology is not the only technology with flaws, and there is no perfect technology in the world. It would not be wise to discard useful technology simply because it is flawed. Fortunately, facial recognition technology is getting popular and improved by many companies. Even if it has some technical problems, they will be fixed shortly.
しかし、顔認識技術だけに不具合があるわけではなく、世の中に完璧な技術はない。単に不具合があるという理由で有益な技術を捨てることは愚かなことである。幸いなことに、この技術は普及しつつあり、多くの企業によって改良されている。たとえ何らかの技術的な問題があったとしても、近いうちに修正されるだろう。

「認識ミス」というデメリットを、「どんな技術にも不具合はある」「有益な技術を捨てるのは愚か」「そのうち修正される」という論理で切り返します。
【語句】□flaw「[名]]不備、欠陥」「[他動]傷つける、駄目にする」⇒ be flawed「不備がある」 □discard「(習慣・信念など)を捨てる」 □simply beause「単に~という理由で □shortly「まもなく、すぐに」※soon よりも堅い語

More importantly, facial recognition technology will help improve the safety of our daily life in many ways. First, it helps in crime investigation. For example, as we see in paragraph 4 of Ai Shiyu’s article (2019), the police were able to locate a suspected rapist using facial recognition technology within 24 hours of an incident. Facial recognition technology will make it much easier for the Japanese police to identify criminals.
それよりも重要なことは、顔認証技術がさまざまな点で私たちの日常生活の安全性を向上させるということである。まず、犯罪捜査に役立つ。例えば、Ai Shiyu氏の記事(2019年)の第4段落にあるように、警察は事件発生から24時間以内に顔認証技術を使い、強姦容疑者の居場所を特定することができた。顔認証技術によって、日本の警察は犯罪者をより簡単に特定することができるようになるだろう。

本来の主張「日常生活の安全向上」を深く論じます。本文で言及されている「犯罪捜査に役立つ」をメインの理由とし、本文では advatange と表現されているのを、ここでは help と言い換えました。1文目の文末を ~ in many ways 、2文目の文頭を First, ~ としたのは次の段落に2つ目の理由があるからですが、もし理由1つ構成で行く場合は、in many ways と First を取り、as[because]などでつないで1文にするのがよいでしょう。For example ~ で具体例の引用を述べるのは先の解答例と同様と同様です。
【語句】□locate「突き止める、見つける」 □criminal「[名]犯罪者」※加算名詞

In addition, facial recognition systems can be used by anyone and placed anywhere. That situation is not only helpful in detecting criminals or suspicious people but also in preventing crime. People are less likely to commit crimes when they know they are being monitored, so the more systems are placed, the safer our life will be.
加えて、顔認証システムは、誰もが使い、どこにでも設置することができる。その状況は、犯罪者や不審者の発見に役立つだけでなく、犯罪の抑止にも効果的だ。人は監視されていることを知ると犯罪を犯しにくくなるので、より多くのシステムが配置されればされるほど、私たちの生活はより安全なものになるだろう。

2つ目の理由(※オプション)です。問Ⅰ⑥段落に「人は見られていると犯罪を犯しにくい」という記述がありましたが、これはつまり「犯罪抑止効果」ということであり、まさに「日常生活の安全向上」という主張を補強するのにうってつけの論点です。1つ目の理由「犯罪捜査に役立つ」ときれいに対比できるので、not only ~ but also … で表現しました。またこれを軸にして「空港に設置されている」という記述から、独自視点で「誰でもどこにでも設置できる」⇒「多ければ多いほど安全になる」という理屈を考えました。尚、細かいことですが、本文の when people suspect they are being watched を では when they know they are being monitored と言い換えています。
【語句】□detect「見つける、検知する」 □place「設置する、取り付ける」

In conclusion, rather than regulating the use of facial recognition technology, the Japanese government should actively encourage it.
結論として、日本政府は顔認識技術の利用を規制するのではなく、むしろ積極的に推進すべきである。

結論[=再主張]の書き方は難しいですが、ここでは先の解答例よりも簡単なパターンをご紹介します。書き出しを「Rather than + 自分と反対の立場」とし、「規制すべきではない」を「積極的に推進すべき」などと大げさに言い換えて提言してしまうのです。これは、私がおすすめしない書き方 Therefore, I do not think the Japanese government should regulate the use of facial recognition technology. と、言っていることは大して変わらないのですが、印象がずいぶん違うと思います。うまい再主張が思いつかない場合は使ってみてください。
【語句】rather than A, B ≒ not A but B(AではなくB)

その他細かいアドバイス

時間配分:20~30分で書く

その年の問題の難易度やその人の得意分野にもよりますが、基本的には自由英作文にかけられる[かけるべき]時間は20~30分だと考えてください。この時間を確保するには、もちろん他の問題をいかに速く解くかということも勝負になります。過去問演習では全ての問題を通しでやる練習と、自由英作文だけを目標20分以内、どんな形でも絶対に30分で切り上げるという練習をしておくとよいでしょう(理由を2つにするか、1つにするかの見極めを含め)。

最初に読むときに論点をチェックしておく

前項で述べたように、自由英作文は時間との闘いです。最初に読解問題で長文を読んだときに、自分は賛成か反対かを考え、また自由英作文で使いたい論点の候補(+引用したいところ)に印をつけておくとよいでしょう。繰り返しになりますが、必要な論点は、「強い理由」2つ+「反対の立場の弱い理由」1つ(譲歩)+「その反論」(打消)です。

段落を分ける

赤本や予備校の模範解答では段落を分けない解答例も見かけますが、皆さんは今回の解答例のように段落を分けることを強くおすすめします。理由はシンプル、そのほうが圧倒的に読みやすいからです。自分が答案を採点する立場になったことを想像してみてください。段落を分けた作文と分けてない作文、どちらが読みやすいですか?「段落」とは論理構成を示す目印です。段落を分けておくことによって、多少論理構成が甘い作文を書いてしまったときでも、自分の言いたいことを採点者に伝えやすくなります

易しい表現で書く

生徒の作文を添削していると、難しい語彙や凝った構文を使ったはいいものの、文法や語法が間違っているというものをよく見かけます。そういった誤りは確実に減点されます。多少自分の言いたいこととニュアンスは違ってしまうとしても、自分が自信をもって使いこなせる易しい表現を使うようにしてください。中学レベルの英語で全く問題ありません。

練習あるのみ!

テンプレ化したとしても、やはり限られた時間でうまくまとまった作文を書くには熟練が必要です。とにかくどんどん練習してください。すでに述べた通り、全ての問題を通しで解く練習と、英作文単体で解く練習の両方しておくのがおすすめです。赤本の過去問はもちろん、東進のサイトなどで古い年度の問題は入手可能ですし、またある年度の一度書いた作文でも、別の論点を使って書く練習や、賛否を逆にして書く練習(これはかなり鍛えられます!)もできるので、問題には事欠きません。そして書き終わったら、身近な信頼できる先生に添削してもらってください。

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